2019年02月03日

見上げてごらん夜の星を 今宵バロン城にて。sideカイポロ

この話は…宇宙人の血をひく踊りが達者な聖騎士の話ではない。緑の召喚士と子育て中の童心を持つ忍者の話でもなければ、組織ぐるみで師の恋を手助けした宇宙人3代目の王子の話でもない。

話の主役は、訳あって故郷バロンを離れ十数年ぶりに帰還。竜の事は誰よりも博識で竜を愛し、国王一家の寵愛と信頼厚く家族も同然。民には尊敬と美丈夫ぶりと武勇伝を称賛され、世界中の人々から星を救った英雄の一人と讃えられる聖竜騎士の話だ。その名はカイン・ハイウィンド、ただいま新婚さんなのであーる。国の責任ある職務を離れ、自邸に帰れば新妻が優しく温かく出迎えてくれる。

彼が一目惚れし遠い他国にまで通い詰め、不器用な恋の末に結ばれた相手は…16歳も歳の離れた可憐な乙女。彼女の名は英雄の一人・ミシディアの白魔導士ポロム。双子の弟パロムと次代のミシディアを託された若き天才魔導士だ。国王夫妻に幼い頃から妹の様に可愛がられ、王子は姉の様に慕っている。

新年1月1日のめでたい日、カインに嫁いだポロムは姿声が優しく愛らしい、温かく包み込むような笑顔に明るく飾らない人柄で、民から親しみを込めて「ハイウインドの若奥さん」と呼ばれている。

執事ファミリーからは今まで「おじさん・坊っちゃん」、結婚してから昇格して「カイン様・旦那様」と呼ばれるカインには、彼の中でだが最も重要な悩みがある。忙しくてポロムとすれ違いが続いているのだ。

ある冬空の冷たい風吹く夜。ここバロン城の城内にある赤き翼・部隊長用の執務室では、一人の鎧姿の男が、渋い顔をして机上の積み重ねられた書類とにらめっこをしている。『今日もまだ仕事が終わらないな、帰りが何時になるか全くわからん。これで帰れないと3日目になる!』彼が物語の主役カイン。
職務が多忙ゆえに急な任務もありで、最近は帰りが深夜か早朝、何日間も自邸に帰れない事がある。なんて事だ!とガックリ項垂れる。ポロムと仲は悪くない、結婚してから益々好きなのだ。一緒にゆっくり過ごした日はどのくらいか?と両手を広げると、数えながら一つ一つ指を折っていく。すると思っていたよりも少ない!!折った数が右手で止まり、ますます項垂れ深く溜め息ばかりしてしまう。昼に城のメイド達が噂話をしていた、好き合って結婚したが互いの仕事が忙しく、仲は冷め早々に別れたという元夫婦の噂を聞いてしまった。自分達は大丈夫か?他人事でない。ううっ、これはどうしたものか…どうしたものか…どうしたらいいのだ…?どうしたら…どうしたら…どうしたもんじゃろのう…ブッブッブッブッブッ…
  
『失礼します、部隊長お先にって…うわぁ!下向いてブツブツ言ってるよ。これは大変だ、父さん母さんに相談だ!さあ、行きますよ』そんな師の姿を見た王子セオドアは、父譲りの馬鹿力でカインを引きずり両親の所に連れて行った。王の執務室には両親と一緒にシドもいて、4人はカインの様子に心配し取り囲む。『ポロムいつもすまん…うう見捨てないでくれ…』『おいカイン、どうした?』『一体何かしら?』『ほれ顔を上げんかい、ワシらに話すんじゃ』 『カインさん、スッキリしましょうよ!』

それから数十分後…セシル達に話を聞いてもらい、気持ちが落ち着いたカインは自分の執務室に向かっていた。『ん?あの後ろ姿はポロムか?』先行く人物の姿を見かけ、気づかれないよう後をつける。

『やっぱりポロムだ!』2日ぶりに見る妻は輝いて神々しい。髪色を桃色から地毛の明るい茶に戻し、頭上でひとまとめした髪が動く度に揺れている見慣れた後ろ姿。妻がどこに行くのかと思えば、その先は自分も向かう執務室だ。『もしかすると俺に会いに来たのか?フッ、脅かしてみよう。ちよっとした余興だ、おかしな悲鳴でも聞かせてもらうか』驚いて慌てる様子が見られると楽しくなってきて、先ほど心配していた事もすっかり忘れたカインだった。ポロムが執務室の前に着いて立ち止まり、ドアを叩こうとした時にカインは後ろから近付いて『ここに何の用だ?貴様は誰だ?名を名乗れ!』と、低いドス声でポロムを両手で目隠しする。しかしポロムは『もう、仕方ないなあ。何やってるんですかカインさん、いつも同じ事するから驚きませんよ。私の後をつけていたでしょう?』落ち着いていて驚かない。『(あれ…そこはキャーッだろうが?)バレていたか…』『ふふふ。このイタズラな手を離してください、顔が見れないわ』カインは苦笑いし『これでいいか?』目隠ししていた両手を話す。『2日ぶりですね、カインさん。会いに来ました、今日はカニパーティの打ち合わせに呼ばれて、終わった後カインさんがいるか寄ってみました。』心の中で(そうのなのか?!嬉しいぞ…やはり俺達は新婚なのだな)と、感動するカインの目に写るは、こちらを振り向いて朗らかに笑うポロムが神っていて、ピッカピカの後光が眩し過ぎる。

『ああ。そっちは変わらないか?』『ええ。やっと会えました』2日ぶりの再会そうなのだ。きっと忙しさの余り若妻に寂しい思いをさせているだろう。執事のセバスチャンに妻の様子を聞くと、「旦那様がいなくても、奥様は元気に過ごしてますよ~昨日は邸の皆で焼き肉パーティをしました。楽しかったですなぁー何だか愛しの奥様を取ってしまって、どうもすみません。こちらは心配ないですから安心して下さい!そういえば…いや内緒にしましょう。女房に愛されて何より!よかったですなぁ~ワッハハハハ!!」そう聞きカインは、ポロムは元気でなによりだ。しかし会えないと頭の片隅で[亭主留守で妻は元気いい]とかいうどこかの言葉を思い出し、夫である自分の存在が忘れられてないか?とも心配していた。

カインは堅い顔でポロムを抱きしめた時、『ゲフゲフ、ゴホン!ラブラブ中に邪魔してすまんのう。喫煙所に行くからここを通りたいのじゃ、いいかの?』ハグハグ中な新婚夫婦の近くを、タバコと携帯用灰皿を持つ満面の笑顔のシドが立っていた。『シド?』『シドさん?』『フォフォフォ離れなくていいぞ~そのままでよいぞ。昔のセシルとローザもそうじゃった!仲が良いのは良きかな、良きかな。カイン、ポロムに会えて良かったのう。これはまた良いものが見れたわい!あのカインがのう~フォフォフォ』バイバイと手を振って歩くシドを見る、真っ赤な顔の二人であった。『場所を変えよう…』『そうですね…』

二人が向かったのは、空に浮かぶ三日月と煌めく無数の星が見れる城の最上階だ。バルコニーに出るとポロムは声を挙げ『わあっ、綺麗~』と大喜び。それを見て目を細めるカインは『ミシディア程ではないが、どうだ?ここはバロンで星がよく見える場所なんだ。まあ俺の選んだ場所だがな』『素敵です!この場所も星がよく見えますよ!』『そうか、喜んでくれてよかった。あのな』『はい?』『寒いなら…ここ空いてるぞ』恥ずかしくて自分の元に来いなど言えない、マントを広げた照れ屋のカインなのだ。戸惑う事もあるが、彼の気持ちがわかったポロムは『行きますよ。えい!』カインの胸元に飛び込んでいった。『フッ…』待ち構えたカインは満足そうな顔をし、優しくマントでポロムを包み抱きしめた。お互い見つめあい暫くの沈黙。それを破るようにポロムは『ふふっ、私も嬉しい』と言う。(可愛い。可愛くて…萌えて照れ死にしそうだ…)普段は厳しい隊長と呼ばれても、ポロムの前では純情になるカインなのだ。

ひと呼吸して『ゴホン!急だが、明日から3日間の休暇を取った。いや正確には取らされたんだ、これは国王夫妻の厳命なのだ!と』ポロムが心配そうな顔をすると、頭をポンポンし『心配するな、ただの休暇だ。ここのところ忙しくて録に話せず、お前を一人にさせてしまったから、休み中は思い出づくりと妻孝行してこいとな。それからセシル達に大笑いされたが…』『なんですか?』『ああ。お前に嫌われて、お前が俺の事を、その…忘れてるのかと思ってしまったんだ』ポロムには、真面目な顔で話すカインが一回りも年上と思えない程、同年代また年下の男の子を感じさせた。『ふふふ、そんな事言うなんて嫌だなぁ。私はカインさんを忘れてないし、嫌いって思ってないですよ。一人にさせてるって言うけど、私がミシディアにいた頃よりも多く会えてるもの。それに嫁ぐ前にミシディアを離れて、バロンで妻としてやっていけるか、不安な時があったけど…バロンの人たちが優しいから、いつも寂しいと思えないし、カインさんがいるから一人じゃありませんよ!』そんなポロムの言葉に、自分があれこれ思っていた事が滑稽で、恥ずかしいカインだった。『フッこんな旦那ですまない。俺の思い過ごしだった…』『大丈夫です』

先ほどセシル達から聞いた話に、『何を言ってるんだ?ポロムは城に来た時に、飛空挺が飛ぶのを見ると祈りをしているぞ。きっと、お前の無事を祈っているんだな』『そうなのよ、城の皆も微笑ましくて、皆ポロムにあなたの話をすると、とってもいい顔して聞いているんですって。ハイウインド様は幸せ者ねと言ってるのよ』『僕たち隊員にも優しいであります!時々、差し入れに手料理やお菓子を頂きます!男だらけの食べ盛りには、有難いです!』『ポロムはこう言ってたぞ。会えない時に必ず手紙を書いて置いてくれてる。素っ気ないけど弁当うまかったとか、ありがとうと書いてあると嬉しい。私、カインさんのお嫁さんでよかったって。お主バロン一の幸せ旦那じゃのう~フォフォフォフォ』『そうそう!ワハハハ』
などと自分には、ポロムが最強召喚獣や守り神に女神にも思え、天下一の嫁が誇らしかった。
  
『休暇の1日目はミシディアと、俺が世界中で最も星が美しいと自負する場所がある。そこにも行こう』
『ミシディアの皆に会うの久しぶりですね!あれ?次に行く所って…もしかするとあの山ですか?』

(ギクリンチョ!!)『さあ…さてな…行って見るまでの内緒だ。』『どこかな~?ふふふ楽しみです!』
『2日目は、エブラ-ナに行くか』『わ~エッジさんリディアさんと、子供達にも会うの楽しみです』

カインがポロムに見せたい[世界中で最も星が美しい]場所、そこは二人にとって深い関わりのある「試練の山」だ。先程の話で妻が場所を言った時は動揺し、おっとりしている様に見え、しっかり者で時に鋭い妻に下手な隠し事は止めよう!と思ったカインであった。(ホッ。バレなくてよかった…)

試練の山にいた頃。父を越える竜騎士になると山に登り、独り修行に明け暮れた十数年もの日々。心が疲れ自分が壊れそうになった時、草花や生い茂る木、鳥の鳴き声に四季折々の景色を愛で癒されたか。真っ暗の雄大な頂から見る無数の輝く星に圧倒し感動の涙を流し、幼馴染みと夢中になった昔話を懐かしみ、亡き両親から聴いた故郷の歌を口ずさみ、幾度も慰められただろう。迷いや困難に遭遇した時も見上げた夜空の星に励まされ、前に進む心の強さを貰ったのだった。幼き日もあの頃も今も。


山頂に着いた時、ポロムはどんな反応をするだろうか?きっと満開の笑顔を見せて、飛び跳ねんばかりに大喜びするだろう。いつも自分の側で隣で一緒にいてほしい。ここバロンに来てくれてありがとう、口にして言えないけど、大好きだ愛してる。そう想いを込めてカインはポロムを抱きしめキスをした。

『あの…せっかく会えたから、まだ帰りたくないです。暫く執務室にいてもいいですか?お仕事の邪魔しないので。』ポロムに上目づかいをされたら断れない。嬉しいカインの目には後ろに沢山のピンクの花を咲かせ、瞳を潤ませた『あなたの側にいさせてほしいのお願い』と甘えるポロムが写った。脳内で一瞬妄想して(うちのポロムは世界一可愛いぞー!!)と夜空に向かって、大声でおもいっきり叫びたい。

『ああ構わん、いていいぞ。今日中に仕事を終わらせるから待っていろ、それから邸に一緒に帰ろう』『はい、待ってます。カインさんの好きな干し芋を持ってきたから、お茶入れますね』ポロムが鞄から袋を出すと、カインは素早く取り上げて『あるのは7枚か、俺の分を多くな。美味しいものを独り占めとは、ポロムのくせに生意気だ』とニヤリと注文する。それにムッとしたポロムは『もう意地悪、1人3枚ずつで残りは半分ずつです!そんな事するなら、ミシディアから送ってもらうの止めますからね!』袋を取り返す。その様子が可笑しくて『ハハハ…ハハハハハ!』大笑いしたカインだった。

『笑わないで下さい!』『ハハハわかった、悪かったな。外は冷えるから執務室に戻るぞ』『あっ、待って』ポロムは慌てて先行くカインを追いかけると、待っていたカインの隣に並び手を繋いで階段を降りて行った。『3日目の予定はどうします?』『そうだな…お前と一緒にいたい、それだけだ』『私も同じです』『俺の希望は…こうなのだが、いいか?』『は?何を言ってるんですか…仕方ないなぁ』

この話は…世界一大切な可愛い妻を溺愛し、いつも妻が大好きな不器用な男の話だ。
天空の月星から淡い光りの祝福が、未来永劫ふたりを優しく照らしていくだろう。  
ささやかな幸せを祈っている様に。

trkeko at 14:37|PermalinkComments(0)カイポロ 

2019年01月30日

カウンターヒット6000

こちらにお越しくださり、
ありがとうございます。

長らくお待たせしました。
カウンター6000のイラストを、
お披露目します。

KIMG1127
FF 6のSFC バージョンで、
ティナとモーグリ。
さあティナ、思う存分モーグリをギュッと抱きしめて、フカフカして下さい!クポーと鳴く?可愛いモンスター?また動物?を。

私もモーグリをフカフカしたいなー




trkeko at 22:00|PermalinkComments(0)記念物 

2018年12月31日

お久しぶりです

こちらにご訪問ありがとうございます~!
生きてます。明日は新年ですが、駆け込み更新させて頂きました。

6月は、旦那さん&お兄ちゃんの誕生日でした~!仮面ライダービ○ドケーキです。
お兄ちゃん双子君とロウソクの火を、誰が早く消すか競ってました。つばが飛ぶって!
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お兄ちゃん、今年のクリスマスケーキは…イオ○で仮面ライダージオ○と決めた様です。

息子よ…戦隊ヒーローもプ○キュアも玩具とデコ以外は、ケーキは同じだよ…
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お父さん&お兄ちゃんのバースデー、ジャイアンズでお祝いだ!!ジャイアンの母ちゃんが見守ってます。

やいおまえら、俺様の歌を聞け!ぼえーボエー boeboeboe…ジャイアンの歌は兵器…

 ご覧いただき、ありがとうございました!


trkeko at 16:16|PermalinkComments(0)気まぐれ日記