2017年03月

2017年03月25日

見上げてごらん夜の星を 今宵エブラーナ城にて。

この話の主役は…可愛い幼妻と結婚後も、お互いに相手が益々好きになっている、妻と年齢差を感じさせない仲の良さから、国の民からは「国一番の幸せ者」と呼ばれる新婚の聖竜騎士ではない。

また、その彼は家族も同然。惚れた女性との回り道をして始まった、恋の行方を心配しながらも組織ぐるみで全面サポート・全力応援。彼のこれからの人生の幸せを願い、愛する女性と結ばれた事を大喜び。

『フフフ~これから家族ぐるみで付き合える。ラッキー!新婚夫婦の家に遊びに行こうね。その日が楽しみだな~カインは嫌がるだろうけどねぇ…まあいっか!』と。聖竜騎士を師と慕う愛息子と、いつも親子3人顔を合わせれば話している、「お節介夫婦」こと某大国のおしどり国王夫妻の話でもない。
 
主役の二人は、エブラーナ国王エドワード・ジェラルダインことエッジ。その妻はミスト村出身の黒魔導士兼召喚士のリディア。二人は十数年前の月の戦いで、運命的な出逢いをした。エッジは頼んでもいないのに話したくて、熱く熱く語りだす。『へへっ、俺の沢山あるリディアとの話を聞かせようか!』

『あいつを見たとたん、俺のハートに「惚れてしまったぜぇー」と熱い矢が刺さったんだよ!そう、リディアに一目惚れしたんだ!今も可愛いけど、ああ~その時は妖精というか神秘的な美しさだったぞ。このエッジ様はな~お前の姉ちゃんに一目惚れをした、あのバーカインの大先輩なんだぞ。どうだ!』

『あっそ、そうか。よかったなーはいはい』『おいおい!パロム君ってば冷たいなーそれでな、こんな事があってなーリディアと俺はこうで、こうでなっ…おい!俺の話を聞いてんのか?』

『いい年したおっさんがうるさいんだよ!』『おっさんと呼ぶな!俺はまだ39歳だ』『今度40だろ!』

話し相手は黒魔導士パロム。双子の姉がバロンに嫁ぎ、その夫の聖竜騎士とは今や義理の兄弟。
いつもパロムに『あんたさ、いつもしつこいんだよ。壁にでも話して聞いてもらえ!この万年リディア馬鹿!!』と言われても、へこまず懲りずにしつこく話す、誇らしげな顔のエッジだった。
エッジとリディアは…ミストとエブラ-ナの遠距離+長年の交際を経て、強い絆で結ばれた忍者の国エブラ-ナの国王夫妻である。忍ばずとも忍ばない暴れるぜ、ワッショイ、ワッショイ!!


「お節介夫婦」から仲を取り持たれ、今や夫婦となったエッジとリディアには子供が二人いる。

一人目は真月から連れ帰った、宇宙人…謎の生命体マイナスの幼体、幼虫じゃないのよ…。
見た目は人間の年齢でいうと8,9歳ぐらいの、可愛いい小さな女の子だ。

その子はリディアが引き取り、ミストの村で育てる事にした。リディアは彼女にクオレと名付けた。
以前は感情も無く無表情だったが、自分も一緒にクオレを育てるとミストに来たエッジと、優しいリディアによく懐き、他所から見れば仲がいい親子のように見えた。リディアは自国から遠いミストまで来るエッジを、3人で過ごす内に今まで知ることの無かった、新たな魅力を見つけ頼もしく思い惚れ直した。

(エッジって子供の世話好きで、意外にイクメンよね!いつもありがとう。私、あなたが好きよ)

3人揃って一緒に寝食を共にし、いつも時間が過ぎるのも忘れ、日が暮れるまでエッジがエブラ-ナに帰るまで一緒。段々とクオレには少しずつ人間の女の子らしい表情や感情、軟らかい優しい話し方が出てきて、エッジとリディアは抱き合い手を叩いて大喜び。クオレが自分の一人称を、『クオレは...だな』から『私ねーこうなんだよ』と言うと、2人は可愛いい~お願い、もっと言って!と何度も拍手をした。

エッジとリディアはクオレに、クオレが大好きだよ大切だよと言い、幼子特有の軟らかな体をたくさん抱きしめる。または頭を撫でスベスベの頬にキスし頬擦り。クオレに『止めて』と言われても続ける。

『エッジ、私達ってお互い親馬鹿だよねー』『そっちがオヤバヵじゃないか~☆』『クオレが愛おしくて、たまらないよー』『クオレは天使だな』と2人揃っては、相手のクオレを溺愛する様子に笑いこけ、自分達が親に幼い頃そうしてもらった様に、愛しいクオレに優しくも厳しさもある愛情をたくさん注ぐ。

エッジとリディアはクオレの寝顔を見て、真剣に話した事がある。自分達とクオレは血が繋がらなくても、もう3人は一つの家族だ。クオレには父親と母親なのだ。エッジは意を決して恋慕うリディアと夫婦となり、これから人生を一緒に歩んで行きたい。リディアとクオレを自分の元へ迎えたい。王として治める国エブラ-ナに彼女達を連れて行きたい、ここで家族として一緒に暮らしたいと思った。そして思いきってリディアにプロポーズの、リディアからもエッジに逆プロポーズがあり.....

2人は長年の想いが実り、エブラ-ナで盛大に婚姻の儀式が取り行われたのだった。

挙式前にエッジはエブラ-ナの民が、リディアとクオレを王の妻と娘として認めるかどうか?
不安で不安でガタガタ震えて、どうなるか彼女達をエブラ-ナに連れて城に入ると…
震えていたエッジの不安を余所に、エブラ-ナの民はリディアとクオレを見るなり大歓迎。
城には大混雑ができ、リディアとクオレを王の妻と娘として、温かく優しく迎え入れたのだった。

やっとやっと、お館様が結婚だ!我々も待った甲斐があった。あの美しい妃との間に可愛い姫君がいたなんて、エッジ様もやるなあー皆様お幸せに!我等は応援してます!と民は話す。

クオレはエッジとリディアを名前で呼んでいたが、今では『お父さん、お母さん』と呼ぶ。

もう一人は、昨年秋の11月22日「いい夫婦の日」に実の子供が誕生。その日に合わせてか産まれた子は、国の世継ぎとなる男子。父エッジは親馬鹿パワーを強め、クオレと息子を『てやんでい、ちくしょう、可愛いなあ~リディアもエブラ-ナの民も、みんな俺の宝物だぜ!』と、人目を気にせずニヤニヤのデレデレ。息子の名前は、「エドワード・ジェラルダインJr.」父と同じ名前なので「エディ」と呼んでいる。

エッジは姉となった弟の世話を焼く、小さなお母さん・クオレに、『クオレさぁーお前は大人になったら間違いなく、リディアに似た美人さんになるぜ。あのバロンの王妃様や、ダムシアンの王妃様にアーシュラに、レオノーラにルカにイザヨイに、可愛い顔して実はナイスな体のお姉さんだったポロムよりもな。いいか、絶対エブラ-ナより遠い所に嫁に行くな。それよりも俺が相手の男を徹底的に監視、観察、尋問、決闘、ひっぱ叩くか…』と話し。娘から『お父さんはいつも何言ってるの?』と渋い顔で言われた。

母譲りの碧の瞳を持つ息子には、『こいつは将来、俺に似たいい男になるぜ!バロンの国王とアイツを凌駕するほどにな』と話しては、妻から『それ言うの何回めよ?そうなんだ、ふぁ~あぁ眠い眠い...』赤ちゃんの育児で寝不足もあり、疲れきった顔であしらわれる。『おいリディアちゃん、何でだよ~!』

『若様、お館様、親馬鹿100%ですね!ハハハハ!』その度に城の者に笑われ、面白くなく膨れっ面をした、39歳・親馬鹿の王様エッジなのであった。

ある日の夜。1日の王の執務を終え、大好きな家族の居る自室に戻ったエッジ。
妻リディアはクオレとエディに子守唄を歌っていた。それを見てエッジは目を細めベットの中の
子供達に話しかける。『おーいクオレ、エディ、起きてないか?それとも寝たのか?』

リディアは小さな声でエッジに言う『しーっ。大きな声出さないで、よく寝てるのに起きるでしょ』
『悪いな、そう睨むなよ』『静かにしてね』子供達は寝静まり、今は起きているのは大人だけ。

エッジはリディアの肩を労わる様に、優しくマッサージしながら今日の出来事を話す。
『今日来たアイツの顔見たか?可笑しかったなぁーアイツがねぇ~ぷぷっ。アハハハハハ~!』
『ふふっ。カインってばエッジの言った事に顔赤くしてたよ』『そうだった笑えるぜぇ。ハハハハハハ~!!』『あのカインがね~』揃って思い出し、目から涙が出るほど笑い。

今日来た客人は、二人がよく知る新婚夫婦のバロンの聖竜騎士カインと、その妻でミシディア出身の白魔導士ポロム。なんでも休暇を取りミシディアに行った帰り道の中、エッジの言う「お節介夫婦」ことバロン国王夫妻のセシルとローザから、リディアとクオレに渡す様にと頼まれ物をお願いされ。また、王子エディの顔を見にエブラ-ナに寄ったのだと言う。

クオレはポロムとは仲良しで、久しぶりに会うと大喜び。クオレは『ワーイ!ポロムだ~』と抱きつき、しばらく話していると…それを見て嫉妬した妻に近付くのは動物でも子供でも、自分の竜でも容赦しないカインから、『クオレ、ポロムにいつまでくっついている?』とドス声で言われた。 

ところがクオレは気にせず、大人げないカインに『ポロムは皆のポロムなの!ひとりじめするなんて、カインはズルい』と言い返す。『は?何だと…』唖然として口を開けたカイン。その場は『おおっークオレ言うなあ!アハハハッ』とカインに全く遠慮する事なく、大笑いした忍びの国王夫妻とポロムであった。

『エディを見る?こっちだよ』クオレがポロムを赤ん坊のいるベビーベットまで連れて行き、夫妻とカインで話をする。正確には夫妻がカインに、ポロムとはどうだ?と質問攻め。カインたじたじ。

『セシルとローザから、リディアは赤ん坊の世話で大変だと聞いた。悪いからここに長居はせん』

結婚しても変わらないカインの仏頂面に、リディアは相変わらずねえと思ったが、エッジはニヤニヤして言う。『おいおい!何をおっしゃいますか、リディアとクオレがポロムに会えて喜んでるんだ。ゆっくりしていけよ!もう素直じゃないな~実はお前も見たかったくせに!俺の自慢の男前の息子を!どうだ?』

『カイン、エッジが超のつく親馬鹿でゴメンね。』リディアが呆れて言うも、エッジ全く気にせず。
『おい。そのニヤついた顔を近付けるな!』カインがエッジに手でシッシッ、あっちいけと振り払う。

自称/恋の伝道師・愛を囁く恋愛マスターことエッジと、昔からポロムをバロン国王夫妻同様、妹の様に可愛がっているリディア。カインの恋を助ける組織の一員として加わり、色々とお節介に協力した。

エッジはドヤ顔をして忍び足でカインに近付き、リディアからの「止めなさいよ」と訴える視線を無視。そして、何事かと後ずさりするカインの耳元へゆっくり小声で囁く。
(フフフ…バーカイン、ポロムとラブラブで何よりだな~感謝しろよーこの俺のお・か・げ!だぞ)

『はぁ?おい貴様...今、なんて言った?感謝しろ?おかげだと...?』眉間に深く縦じわを作り、ザワザワザワザワ…ゴゴゴゴゴゴゴ…と、何処ぞの月の民の様な威圧感を出したカインは、相手を鋭く睨むもエッジは全く動ずる事は無し。忍者は目の前の腕組をして立つ竜騎士に話す。

『カインちゃんさぁ、お前んとこは子供いつだ?家の可愛いいクオレとエディを見て、うらやましいんだろ?どうだ!』するとカインは威圧感が無くなり、エッジに『うるさい、黙れ!余計なお世話だ、この馬鹿忍者!』と怒る。いつもの醜い争い…じゃれあいが始まったとリディアは深く溜め息をつく。

『あれま、カインちゃんのお顔が真っ赤だぜ~お前さんの歳を考えたらさ、子供は早い方が良いんじゃないの?』エッジは楽しそうにニヤニヤしながら、赤い顔の実年齢より若々しい男を見る。

『...それはまあ欲しいが、その…その…運に任せる…』『おいおい、運に任せるって呑気に言うな!!ポロムは子供好きだから大丈夫だ』恥ずかしくなり口ごもるカインを見て、忍者は笑いジワを作りニヤニヤ。40近くになっても悪戯な夫に、『エッジ、いい加減に止めなさい』怒りのオーラを出す妻だった。

『カインさん見て下さい、エディが私を見て笑ってくれました!とっても可愛いいですよ!』
ポロムが笑顔を見せながら3人の方を振り返る。忍者の王と竜騎士のやり取りは聞こえなかった様だ。
『さすが我が息子!こいつよりも女心をわかってるな』『エディは愛想がいいからねー』両親の褒めっぷりとは反対に、『俺は赤ん坊よりも女心がわからないだと...』ガックリ項垂れるカイン。

『お母さん、セシルおじばとローザ様からエディの服と、私も可愛い服と髪飾りをもらったよ~見て見て』クオレが言った「おじば」の意味とは==おじさん+おばさんの事。クオレはセシルをそう呼び、ローザには「様」と付けて呼んでいる。リディアは娘とポロムの方に行き、そこに残ったは王と竜騎士のみ。女性達はキャピキャピやかましく話をし、男達の目には赤ん坊を抱くポロムと、それを見て笑顔の母娘が写る。穏やかな優しい表情で妻を見つめる竜騎士に、目を細めて家族を見つめる忍びの王。

(あっ!そうだ。あれあれ)ふとエッジが何かを思い出し、懐から何かを取り出す。
『これやる。昔から伝わる願い事が叶うという、有難いエブラーナのお守りだ』懐紙に包まれた中には色鮮やかな赤と緑、金銀の糸で織られた細かい模様入りの小袋。逃げる相手に強引に渡す。

『へへっ遠慮するな、いいから持って行け。満願成就、健闘を祈る!それとこれも…』今度エッジは、机の引き出しから何かを取り出し、小袋を見つめるカインに渡す。桜柄の包装紙に包まれた四角い箱だ。

『バロンに行ったら渡そうと思って、これ用意したけどよーちょうどいるから、ほいプレゼント!』
カインはエッジからのめったにない贈り物に、これは危険と頭の中で警報を鳴らす。

『ほう、お前が俺に贈り物とは珍しい。中身はなんだ?もしかして何か企んでいるのか…?』カインは睨むも、エッジは両の目尻に深い笑いジワを作りニヤニヤ。意味ありげにこう言った『へへっ、中は開けてからの~お・た・の・し・み。1人でも楽しいけどよ、ポロムと仲良く2人で楽しめるぜーウシシシシ』

(楽しめるって?もしかして…この中には、パロムがレオノーラから取り上げられたという、噂のエッ※な本じゃないだろな?そういう話の好きなエッジの事だから、そっち系の何かが入っていrz…、そうかもしれない!きっとそうだ。これは決して開けてはならない禁断の箱だ...ポロムには見せたくない!)

箱の中が気になるカインは動揺して、心臓の鼓動は早く落ち着いて冷静に考える事が出来ない。
『これは受け取れん。返す』箱を返すとエッジニヤニヤ。『俺とリディアで選んだんだ、受け取れって!』カインは再び箱を渡される。(お前達は何を望んでいる...)とそこには絶望の竜騎士がいた。



―とだったな。そうだったね、あの後ポロムが呼んでも返事しないって怒ってたよ。やれやれだー 

エッジからのマッサージで、凝り固まった痛みが和らいだリディア。育児で寝不足と溜まる疲れ、体のどこかが痛くても風邪気味でも、寝込んでいられないと我慢してしまう。自分に育てられるか急に不安になり泣いたりイライラしたりする。そんな自分を心配して『辛い時は遠慮なく言ってくれ、リディアはひとりじゃないぞ、俺たちがいる』『私もお母さんのお手伝いするよ!』そう言ってくれたエッジとクオレ。

夫と娘の言葉が何よりも嬉かった、エッジは『イクメンの俺にまかせてくれ!』大はりきり。

リディアは夫が『じい』と呼ぶ家老や忍びの四人衆、城の人達や旅の仲間達に幻獣界の育ての両親、たくさんの人達に支えられながら、毎日を慌ただしくも明るく楽しく過ごしている。


紅白の梅が咲いたとはいえ、まだエブラ-ナの夜は冷える。暖かい部屋に甘酸っぱい蜜柑と熱いほうじ茶で、夫婦のくつろぎタイム中。一緒に二人で話していると楽しくて、時間の過ぎるのも忘れさせる。

『カイン今頃はポロムと仲直りしてるかな?思ったんだけど、あのふたりってポロムがカインの手綱をしっかりと握っているよね。そしてカインはポロムに頭が上がらないと』『おっ、だろう?俺もそう思う』

そうリディアが言うと、エッジは自分も同じ意見だと頷く。『同じ事を言ってたのは、お節介夫婦に…』
エッジとリディアは誰々が話していたか思い出していくと、セオドアとツキノワと人形カルコ&ブリーナ以外、なんと旅の仲間ほとんどだった!!『あははは!みんなも同じ意見なのね』『へへへ、だな~』

この小さな宝物、子供達2人が大人になり誰かと出会って恋をして、結婚して温かな家庭を作るのかな?

帰ってきたら灯りがついていて、誰かが出迎えてくれるって、そりゃ嬉しいぜ!嫌な事なんか忘れて疲れが吹っ飛ぶぜ!!  暗い中で一人ぼっちよりも、誰かと一緒だと楽しいし幸せね!

出会ってからエッジはリディアを一途に思い、リディアはエッジを自分の愛する大切な人だと受け入れ。
夫婦となり家族ができ父となり母となり、人生の同志となり一緒なら乗り越えられる。
エッジ、ありがとう……これからもよろしくね。 へへ、こちらこそ。見捨てないでくれよう~

楽しそうな話声が2つ響く深夜の国王一家の部屋。二人の話はしばらく続きそうだ。
この話は...愛する妻と子供達が大好きな忍者の王と、夫と子供達が大好きな妃の話だ。
今夜も夜空には三日月と、無数の輝ける星が広がり優しい光を照らしている。

この世界で生きとし生きる者の、これからの希望と未来。ささやかな幸せを願うように。


そうそう。カインがエッジから渡された、開けてはならぬ禁断の箱の中は何かというと…

カインは機嫌を損ねた妻と仲直り。帰宅後、テーブルにミシディアとエブラ-ナの土産を並べていた。

例の箱を見られない内に隠そうと、ゆっくり妻から離れ見つからずに屋根裏に行こうとするが...
『ふふふ、どうしましたか?』妻に後ろから声を掛けられ振り返れば笑顔の、疲れて帰宅すれば癒されるポロムが、今は見れば恐ろしい恐ろしいわで青ざめる。(ひいいいいいー!)

ポロムは夫が持っていた物。桜柄の綺麗な包装紙に包まれた箱を見つけ、慌てて隠そうとするカインに笑顔のまま詰め寄る。『おい、なんだ…』『ふふふ。カインさん、隠してる物は何ですか?』

(ううっ、見つかってしまった...笑顔で俺を見るな)『これは国家機密の重要な箱なのだ...』
この場はそう言ってやり過ごそうと思ったカインだが、ポロムは首を傾げて見ていた。
『重要な箱?』『ああ、そうだ。俺だけが開けていい箱だから、だからポロムは見るな!触るな!開けるなああああぁぁぁー!』普段は見ない夫の慌てる姿に、ポロムはどうしたかと眉を潜める。

(えっ?この綺麗な紙の箱が国家機密なの?これは何か隠してそうで、あやしい…ここはエッジさんとリディアさんから教わった「ゆうわく」っていう術を掛けるしかないようね!)

ポロムの「ゆうわく」は、くの一イザヨイの使う「ゆうわく」とは別。対カイン用のカインにしか通用しない効果の「ゆうわく」なのだ。セシルとローザから伝わる、カインに困った時の対策法もある。

『あの…カインさん。私、どうしても中身が見たいから開けてください。お願いします!だめですか?』
甘い口調で言い、顎下の高さで両手を重ね、間近にあるカインの顔を上目使いで見つめるポロム。

(ううっ…そんな顔されたら断れないだろう…しかし、これは危険大の箱なのだ。でも頼まれると…)
『ああ、開けていい…って待て待て!!』愛する女性の頼みは、幼馴染みの国王夫妻同様に断れない。

『ふふふ。ではカインさんの許可が出たので開けまーす、それ!』ポロムがカインから箱を取り、手早く包装紙を剥がし蓋を上げると、その中には…なんだろう?

(もう、これで終わりだあああー!!カインさん嫌い!ミシディアに帰りますと言われる...)

妻の固まった顔を見られず、自分の顔を両手で覆ったカイン。だが…聞こえたのは妻の明るい喜びの声。
何だ?と恐る恐る妻を見ると、笑顔のポロムが箱から色々取り出している。

『わあー嬉しい!これ将棋セットですよ、エブラーナのゲームで世界中で流行ってるんです。』
『そうか、そうかハハハ…』『一緒にお菓子とお茶も入ってますよ、どら焼きと大福ですって。美味しそうー』『そうか、そうだったか、ハハハハハハ…』『さっそく将棋やりましょうよ!楽しみ!』
(ううっ…俺の考えていた事は、予想した事は何だったのだああーーー!!)妻からの話に茫然とする夫。

『そうか、それは良かったな...ハハハ』それしか言えないカインは、乾いた笑い声で引きつった顔をしながら、エッジとリディアからの贈り物に喜ぶ妻に両手を引っ張られ、ソファーに座り将棋を始める。

そしてポロムが勝ち続けて連勝、カインは負けっぱなしの結果に終わった。

箱の中身は何か?と、エブラ-ナからバロンの自邸まで、あれこれ想像を膨らませて考えていたカイン。
それはきっとウッフン、アッハン、いやんばかん…ゴホ、ゴホゴホン、ゲフゲフン!

カイン『違う!そんな事は無い...あわ、あわ、あわ、あわわわわわwWW~』

とにもかくにも皆仲良しこよし。お話これで、おしまい~♪チャンチャン♪♪ 



trkeko at 18:00|PermalinkComments(0)FF4 | FF4小話