FF4小話

2017年12月16日

我等、恋の三銃士・後編//ありがとう、愛してる。part 1


平和な青き星に暮らす、バロンの竜騎士カイン。
彼に見えたのは…突然現れたゴースト3人。
その3人の正体は…
父リチャード、王妃ローザの父ファレル、
国王セシルの父で試練の山の精霊クルーヤ。

父とファレルは、「生前やり残した事があり、これらの望みを叶えたい」と依頼。
クルーヤからも頼まれ、カインはゴーストに協力する事になったのだが……
特に父の要望には非常に困っていた。
嗚呼、何て日だ!俺、どうすればいい!と。

父リチャードは、固い表情で息子に一方的に熱く、熱く、暑苦しく語る。
『カインよ、私はお前の側にいたい。生前あまり出来なかった、
親子のふれ合いをしたい。お前には親らしい事をしてやれなかった。
一緒に働き出掛けたり、親子のふれあい…スキンシップをしたい。
失礼な、嫌な顔をするな!我々の好きな温泉に、仲良く一緒に入ろう。
女の様に悲鳴を上げるな、よいではないか!沢山…沢山、お前をハグハグ。
だ、抱きしめてやりたいのだ!ギュギュッと。こら、逃げるな!それでな...
言うぞ!添い寝に頬ずりをしたい!親子喧嘩もしたい。よいではないか!』と。

また『独り身のお前が心配だ、私が人間界に来た目的はな。お前に幸せになって欲しい』
生前厳しかった父の口から、幸せになれという言葉が出たとは思ってもなかった。
迷いの旅路から、故郷バロンに帰参。人生の残りは、友と世界を裏切った償いに捧げたい。

カインは、俺は充分このままで幸せだ。と父に話すも却下、『私は認めん』と言われた。

『フッ!我が子が生涯独身・孤独死になるとは、断じて許せん。結婚して子供を作れ、
温かい家庭を持て。人は一人では生きていけん!カインよ、お前の嫁探しをする!
それが私達ゴースト3人の目的だ。ファレルとクルーヤ殿も協力するそうだぞ。
私だけでは心配だと…ブツブツ…そしてだな』一旦話を止め、黙った父は無口に。
それから眉間にしわ寄せ、鼻息を荒くして熱い語りを再開した。

『お前の妻と子供、つまり私の孫が見たい!孫を抱っこしたい!孫の名前をつけたい!
クルーヤ殿とファレルが、孫のセオドアを自慢するわで…裏山浦山、羨ましくてな。
二人が超、超絶うらやましい!私もおじいちゃんになりたい!よいではないか!』

父の口から出た思ってもない言葉に、カインは驚き動揺する。そしてこうも言う。
『嫁には…お前に好きだと言った娘がよい。私はあの、勇気ある娘が気に入った!!
お前も娘に好意を持っている様だしな。面と向かって、娘に好きだと言えぬならば、
私が直々に娘へ…付き合え&嫁になれと言うぞ。我がハイウインド家の血を絶やすな!』
と父は眼光鋭く、獲物を狙う獣のごとく言う。

カインはキリキリ胃痛がする。父からの無言で見つめる、「期待」という名の圧力が重い。
(おい親父、何を言うんだ…あの娘ってポロムの事か!どうしたものか。アイタタタ…)
苦い胃薬を飲みながら、同時に頭痛もする。毎夜には、悪夢を見る様になった。
槍を手にする俊足のリチャードから追い掛けられ、自分は必死に走って逃げる夢を。

もう一人のゴースト、ローザの父ファレルは言う。『君の父様は向こうの世界でもね、
とっても君を心配していたよ…あの人は見た目から想像がつかない、極度の心配症だから。
彼が何かしら関わると、そこは騒動を呼ぶ…リチャードは、嵐を呼ぶ男なのさ!ははは…』
生前ファレルは父の心配症に振り回され尻拭い、いやフォローにツッコミをよくしていた。

また『私の家族に伝えたい事があるんだ、婿のセシルと孫のセオドアにもね。
私は死ぬ間際、妻マルガレーテと娘ローザ。2人に感謝と、「愛している」と言えなかった。
リチャード同様、私も幾つか心残りな事がある。面倒かけるが、よろしく頼むよ』と話す。

ファレルと父リチャード、このゴーストの依頼、自分だけでは何かと行き届かない。
生前の二人と関わり深い、バロン国王夫妻セシルとローザ。親代わりの飛空挺技師シド、
ファレルの妻でローザの母。皆にこの事を話し、驚くだろうが一緒に協力してもらおう。
クルーヤとファレルの孫にあたるセオドアは、恐怖で震え腰を抜かし寝込むだろうが。
この状況をどうするのかが優先だ、自分の恋愛沙汰は抜きにして、とカインは考えた。

この話は…ゴーストに憑かれた男の悲劇話。でなく、彼と可憐な乙女との恋話。
それと…ゴースト(特に父)から付きまとわれ、常に振り回される、喜劇であーる。

まずリチャードとファレルの出会い、月の民クルーヤの若かりし時。
3人それぞれの「運命の相手」との出会い、死後の世界にて気の合った3人が団結、
竜騎士戦隊「オタスケレンジャー」を結成。人間界に降りるまでから。

ここからは、過去と現在の話が交差します。

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[リチャードとファレルの子供時代より]

生前のリチャードは、飛竜に生き物と会話できる特殊な力があった。
彼が幼い頃、物心ついた時は動物や竜の声が、人が会話するかのごとく聞こえた。
そして特殊な能力を持つ本能からか、それらの生き物と常に「おはなし」をしていた。 

両親は息子を避けるどころか、「息子、可愛いい!天才!」と誉めまくり。
他から過保護と言わんばかりに可愛がって、夫婦で深い愛情を注ぎ、温かく接した。
バロン竜騎士団に所属し、「ドンウインド」と呼ばれる厳しい父も、家では息子にメロメロ。
教育熱心な母は、息子に貴族のたしなみとして礼儀作法に、勉強に乗馬(乗チョコボ)に、
竜(生き物)の生態を学ばせた、バロン1のエリート竜騎士を目指して。

本人のやる気と頑張りで、知識と教養を得たリチャードは、塾に学校内で頭角を出し。
常に成績はトップ、容姿は美少年と注目。恵まれた環境のリチャードであったが、
必要事項以外は話をせず、無口。加えて鋭い目付きが仇となってしまい、
教師は、「反抗的な態度をする」リチャードとの接し方に困り、彼を避けた。
子供達からも「あの子は近付きにくい、恐いね」と嫌煙された。
リチャードは仲良しの人間の友達はおらず、家以外ではいつも一人だった。

一人で過ごすと思う。自分に人間の友達はいなくても、生き物の友達は多くいる。
いつも周りのクラスメイト達は、名門貴族の自分に取り入ろうと、作り笑いしては
お世辞ばかり言うだけ。教師達も目付きや態度だけ見て、自分を受け入れてくれない。
面倒な事ばかりで学校に行きたくない、それならこのまま、家に引き籠っていよう。
ずっと「ともだち」はいらない、いきものの友逹だけいればいい、と彼は考えた。

鳥やリス、タヌキにキツネに蜂、といった「ともだち」に話すと。
「ともだち」達は威嚇して、リチャードに攻撃しようと取り囲む。
(リチャード、君は間違っている。このままだと君の為にならない、僕らもそうだけど
一人一匹じゃ生きていけない!人間の仲間や誰かと一緒に過ごして欲しい!
人間の友逹と喧嘩して笑って泣いて、良い事も悪い事も助け合い、君らしくいてくれ!
どんな時もへこまず、強く立ち向かってくれ。君は優しい子だ、いつか良い事があるよ)

リチャードは「ともだち」に言われ、自分の思った事を深く反省した。
ごめん、僕いや私が悪かった。これから自分なりに頑張るよ!と誓った。
リチャードが前向きに過ごす日々の中、両親は見つけた。リチャードの苦手な事、
絶対やらない方がいい事を。賢い可愛いい息子だが…天は二物を与えずか、
それらは親にも手におえず。多くの知人や専門的な知識の者に相談するが、
「こりゃ難しい!」と皆、お手上げだった。

ハイウインドの家系は竜の言葉を理解し、竜と話し心通わせ、竜と信頼関係を築き、
友の様に接する能力を持っているが、リチャードの生まれ持っての力は別格だ。
この先、
世に知られる事となったら…息子は心無い者達から奇怪な目を向けられ、
不遇な扱いを受けるであろう。
リチャードは可愛くて優しい、自慢の息子だ。
どうしたものか夫婦で何度も話し合い、両親は息子にこう話した。

「優しいリチャード、お前のその力は神様から預かった物。これからも大切にしなさい、
いつも感謝を忘れず、常に謙虚でいなさい。力の事は…お前とお父様とお母様、
私達家族だけの秘密だよ。何も知らない者達が、驚き騒いで大変な事になる。
お父様やご先祖達は、竜と仲良くする能力を持っているが、お前が仲良くなるのは…
竜の他に犬や猫、鳥やら動物だけでない。蛇にトカゲやら爬虫類、昆虫。
それらの話が解って、会話できるのだから。それが出来るのは、お前だけ。
これから外で話をするのは、我が邸の敷地だけだよ。いいね」

子供ながら話を理解したリチャードは、自分を心配する両親の言い付けを守り、
「おはなし」するのは自邸の広い敷地だけで、人目を避け隠れてする様にした。
ある男との出会いにより、彼の人生の転機となるまで。

生前のファレルこと、フィリップ・ジョシュア・ファレルは、幼い頃から天使だ。可愛いい、将来有望、大きくなったら男前になること間違いなし!と注目されていた。先祖代々続く貴族で竜騎士の家に生まれ、父はバロン王や民衆の信頼厚い、真面目で優しい竜騎士。母は貴族の家に生まれながら、国柄の違いに、職業・身分差などの隔たりを持たない、朗らかな性格の淡いブロンドの髪を持つ美人。娘ローザの髪色は祖母譲りだ。そんな両親の元で育ったフィリップ坊やは、弱冠3歳にてピアノにヴァイオリンの演奏をこなし、「バロンの神童」と呼ばれた。更に全楽器の演奏をマスターし、若年ながらも作詞兼作曲家デビュー。噂を聞いた多くの歌手に依頼され、たくさんの曲を作っては流行歌としてヒットした。

その稼いだお金は孤児院や保育園、学校法人に医療施設に寄付。神童はいろいろな事に興味を持ち、得意中の絵で絵本を出しては売れ行き大好評。彼は思った、物事が上手く成功して恐い。人生何が起きるかわからない。大人から聞いた話や、低迷して路頭に迷わない様、もしもの備えに蓄えを…とマメに貯金を貯めた。彼は子供なら欲望のまま買いたいのを、我慢して貯金箱にギルを入れる少年貴族だった。ファレルの両親は、息子を厳しくも愛情たっぷりに育て…彼は成績優秀、運動神経抜群な、おごらず優しく思いやりのある、デキスギ君な少年に成長。仲良しの男友達にも多く恵まれ、女子にモテモテで困っちゃう~な、学校のクラスの人気者となった。その彼もまた、ある男との出会いで人生を変える事になる。男との出会いとは…

ファレル8歳の夏休み、成長して美丈夫と称えられる以前の、いたいけな少年期の頃。
飼っている白猫が元気が無く、獣医に診てもらおうと猫を連れ、バロンの城下町を歩いていた。広々とした屋敷の前に差し掛かると、庭の大きな木で異様な光景を見た。
その木のてっぺんには一人の金髪の少年が登り、無数のカラスから囲まれていた。
カラス達は揃って高らかに鳴く。少年をあざ笑うかのようにーー

ファレルは少年が襲われてしまう、誰かがカラスを追い払って助けないと少年が危ない、
この自分がやらねば!と決意。ファレルは手に抱えた白猫が入っている籠を降ろすと、
持ちやすい長さの木の枝を手に持ち、少年とカラスのいる木に高く跳躍した。
竜騎士の家の男子、このくらい子供でもヘッチャラ。
『そこの君ー大丈夫ー?あれ?何あれ…』それは初めて見た物だった。

ファレルが見たのは…少年とカラスが、互いにガアガアーカアカアーと鳴いている光景。
目が合った少年は、ブロンドに切れ長の力強い目力、サファイア色の瞳を持つ美少年。
『シェーッ!君は何やってるの~』呆気に取られたファレルは、そのまま落下していった
ドッパーンーーーー!!幸い落下した所は、屋敷にある室内プールの中。
水中から浮かんだファレルは、木から降り自分を睨む少年と目が合う。
少年は野球ボールを左手に持つと、ファレルの方角に強く投げた。
速度が速くて避けられない!バシュ!ボールはファレルの顔面中央にヒット!

『イ、イタタタ…君、何かな…?痛いよ!!』
『ふん、盗人かとおもえば子供ではないか。そこの子供!何故ここにいる?
お前は生きてイルカー?イルカは哺乳類だぞ!賢いぞ!覚えておけ』そう言って、
また少年は次のボールを投げようと構えた。綺麗な投球フォームで。

『ねえ僕は生きてるよ!投げないで!!というか、それダジャレ言ってるの?!』
『僕いや私は、ゴジャルは言ってない。なんだ貴様、生きてるな。そこから出ろ』

『この子、学校にいたかな?』少年を何処かで見たようなと、記憶を探る。
貴族の子が通う学校、「オーオーゼ学園」には大勢の子供がいて、思い出せない。
ファレルは少年に、カラスに襲われている君を助けようとした、
木の上に跳べば見た事に驚き、落ちたのがプールだった、と話した。
それを聞き頷いた少年は、淡々と自分が木に登り何をしていたか語った。

『僕いや私は、カラスに襲われてない。あれはカラスの縄張り争いの仲裁をしたのだ。
奴等に依頼されてな。僕いや、私が間に入り一件落着。ありがとうと礼を言われてな』
『カラスの依頼って…君は生き物と話せるの?竜と話せる騎士がいるとは聞いたけど』
ファレルが聞くと、こう少年は言う。『そうだ、話せる。竜も動物も昆虫も、全ての生き物は仲良しに、友達になれるんだ。僕いや、私は奴等と心通わせ心を開かせて、奴等の言葉が解るんだ。奴等と会話ができる!』少年は笑わないが、話す声は明るい。

『(父さんに聞いた話だと、騎士の名前ハ…なんとかだっけ?)猫の話は解る?』
元気の無い白猫タマを少年に抱かせた、『フッ、まかせろ。猫も守備範囲、オッケーだ』
すると彼はタマに向かって、猫の鳴き真似を始めた。
ニィ~ニィニィニーニャ~ニャ~ス…

『猫はこう言った、食べ過ぎて腹が痛むだそうだ。獣医に話し薬を処方してもらえ』
少年はタマの頭を優しく撫でると、タマは甘えた声でニャーと鳴いた。
『凄い、凄いよ!君、凄いんだね!ありがとう。ねえ、君の名前を教えてくれる?
僕はフイリップ・ジョシュア・ファレル、8歳だよ』ファレルは謎の少年に名前を聞く。
少年は薄い口をへの字に曲げ『その名は聞いた事がある、竜騎士の家の子供か!
おい、よく聞け。僕いや、私の名は…姓はハイウインド、名はリチャード、10歳だ。
生まれはバロン、我が家も先祖代々竜騎士だ。覚えておけ!』早口で答えた。
『そうなの?竜と話ができる騎士の名前、ハイウインドさんだ!君、その家の子なんだね。
父さんから君の父上の噂は聞いてるよ、竜騎士団に凄い人がいるんだよって』
ハイウインドさんのお坊っちゃんは、ファレルをガルル~と威嚇して睨み付ける。

『おい貴様。僕いや、私の方が2つ上だから貴様のパイセンだ。
忘れず心のメモ帳に記入しろ!僕いや私を、君と呼ぶは年下のくせに生意気だ!
パイセンには、敬語を使えい!』リチャード坊っちゃん、さらに早口で喋る。
『あの、パイセンでなく先輩だよ!君、僕より上なんだね』
ファレルがツッコミをするとリチャード、『そうだ、美味なセンベイだ』と言った。
『パリッとしたセンベイは美味しいよね!あの醤油の味がたまりません…じゃない!
僕もノッてツッコミした…あとさ、いきなり先輩風を吹かすの止めてよ!』
会って間もないファレルとリチャードは、コントのノリで会話をしていた。

『僕いや、私は貴様に洗剤貸せとか、貴様を浮かすとはしていない』
『この子、天然なのか…はぁ~』『天然ガスでもないからな!』

パイセン…先輩のリチャード・ハイウインドと話したファレル。
タマを獣医の所に連れて行こうと立ち上がると、リチャード坊っちゃんの一声。

『ファレルよ待て、濡れた服のままでは夏風邪をひく。服を貸してやる、それを着て行け』
ファレルはリチャードから服を借り思った。リチャードは変わった子で天然ボケで、
子供なのに態度でかく、威張って偉そうだけど。実は優しいんだと、彼を見直した。
ファレルが部屋を出ようとドアノブに手をかけた時、リチャードは何やらブツブツ言う。

『しまった…!僕いや、私が生き物と話せる事をパパとママ、父様と母様から誰にも言うな。
と言われていたのだ…どうしょう。ヒック、ヒック、グジュ…』
『え?え?リチャード、どうしたのさ?』ファレルが振り返れば、
頭を下げたリチャードが自分の拳を強く握り、低い声でぼそっと話を続けた。

『貴様に話して、貴様から誰かに喋って、大勢の者に秘密を知られてしまったら…
変人が来たと石にトマトに、生卵も投げられる!知らない人から追いかけられる!
後を付けられる、ううう…』そう言いながらリチャードは顔を上げ、話を続けた。

『それから…僕いや、私で金儲けしようと企む、悪い連中に誘拐される!大量に不幸の手紙を送られる、呪いの藁人形を打たれる!!うう…もう外に出れない!町にお買いものに行けん!ぐず…お気に入りの場所に行けない!好きなスイーツを食べに行けなくなる!ぐずっ…貴様、あちこちペラペラと言いふらすな!貴様の家族にも誰にも言うな!わかったなー!はあはあ…』
興奮し大声で怒鳴ったリチャードは、整えた前髪が乱れハアハア息切れ。
両目から涙を流し鼻水までも垂らして、ぐしゃぐしゃの顔で泣いていた。
ファレルはリチャードの前に立ち右手を伸ばす、そして少し背の高い背中を優しく擦った。

『僕は君の秘密を誰にも言わない、信じて。タマの事を教えてくれて、ありがとう』
リチャードは鼻をすすり、ファレルの言葉に安心したか、泣くのを止めた。
『本当だな!僕いや私は、会ったばかりのお人好しで、すぐに騙されそうな、貴様を信じる!』
『あのさ、騙されるって…酷いよ。僕は貴様じゃないよ、フイリップ・ジョシュア・ファレルだよ。
ハイウインドさんは、君は、生き物達と話せて話が解るなんてカッコいい。魔法使いみたい!
正義のヒーローみたい、自信持っていいんだよ!』
『フン。その媚びた誉め言葉、恩にきる…』『僕は正直に、気持ちを言ったの!』
ファレル家の嫡男フイリップと、ハイウインド家の嫡男リチャード。
後に竜騎士団の隊長と副隊長となる二人は、こうして出会った。
それから話していると、共に「オーオーゼ学園」に通う生徒だと判明…
リチャード「先輩」に、敬語で話すファレルだった。
『パイセンにタメ口をするなど、子供のくせに早い!』『リチャードも子供です…』

ある日、ファレルの屋敷に珍しい客が来た。『ファレルーーー入るぞ!』
ガタガタ、ガタピシ、ドンガラドンドン!!『ひえー!リチャードじゃないですかー』
誰かと思えば、余所の家のドアを蹴り入る、遠慮が無いリチャード。
『ファレル、貴様の猫から聞いたぞ。なんでも…ふわふわのかき氷が出来る機械を、宿題の工作に作ったそうではないか!そのかき氷、僕いや、私がわざわざ食べに来たのだ!この前の服を返しに来たついでにな』汗だくでも偉そうな少年。
『ハハ…食べたいなら素直に言えばいいのに。面倒くさい子』ファレル溜め息。
『一人占めとは、ファレルのくせに生意気だ』素直に言えないリチャードである。

パタパタ、パタパタ…驚いたファレルの母が、玄関に立つ子供達を見る。手にフライパン握って。
『何事!まあ泥棒でなくて、フイリップのお友達が来たのね?』挨拶をするリチャードを見て、
母は笑顔で息子に聞く。『誰かと思ったら、ハイウインドさんのリッ君。仲良しさんになったの?』
母に困り顔のファレル。『え?まだ知り合ったばかりで、仲良しって程じゃ…』
そう言うのを遮る様に、隣のリチャードは頭の麦わら帽子を取ると、ファレル母に云う。

『ファレル君に会えるのが楽しみで、お家に着いたら嬉しくて、強くドアを叩き過ぎました。
ごめんなさい、お騒がせしました』丁寧な口調で詫び頭を下げた。
ファレルは『リチャード、僕に威張りん坊なのに…そんなのあり?』冷たい視線。
『いいのよ~ゆっくりしていってね』母がその場を去ると、ファレルは自分の口を両手で押さえた。
『リッ君って、リチャードの事ですか?ぷ、ぷぷ』そんなファレルに客は頬を膨らませる。
『おい笑うな失礼な。悪いか、文句あるか?家で父様と母様はそう呼ぶ。よいではないか!
それより、極上かき氷はまだなのか!』

氷を削らせ、甘いシロップを何種類もかけた「レインボーアイス・リチャードスペシャル」
そのかき氷の見た目の彩りと、氷に溶け合うシロップの味を堪能、満足完食のリチャードは…
隣の後輩の顔面距離5センチに接近。
『よく聞け。僕いや私は、この夏休みが終わったら…内緒の秘密を皆に言う』
『どうしたんですか…?顔が近すぎ。暑苦しいし、僕から離れて』
『ファレルよ。僕いや私はこのまま、秘密を隠して良いのか?不思議に思ったのだ』
『そう思うから言うって?僕はこの暑苦しい顔を離してって頼んでます』
『まあ聞け。ずっと隠すのは男らしくない、僕いや私は卑怯だ。そして…貴様に言われた言葉に勇気が出た!秘密をカミングアウトして、怖がらず隠れず、堂々としていたい!解ってくれ!』 
『え?本気ですか?冗談でしょう(やっと離れてくれた…)』この話をファレルは軽く受け流したが…リチャードは違った。おふざけでも冗談でもない本気だ、男の人生を賭けた勝負だ。

夏休みも終わった次の日、二人の通う学園では何やら大騒ぎが起こった。
学友に聞けば、上級生のクラスで「凄い!お前カッコいいな」の声が聞こえたと言う。
『まさかリチャードは、秘密を告白するの本気だった?本当に言ったの?だとしたら…
リチャードはどうなるの?』ファレルは偉そうに威張る、少年の姿が浮かんだ。

学校から帰ったファレルは、リチャードがどうしてるのか気掛かりで心配で、
そわそわ落ち着かず母が話しても上の空。夜になるとファレル家に訪問客が3人、
ハイウインドさん家のリチャードと、その両親だった。皆、穏やかな顔をしている。

ファレルの予想通り、リチャードは秘密を話した。皆から嘘だ!証拠を見せろ!と声多く、
学校で飼育するウサギと、会話するのを見せたら…スッゲ~凄いぜ、超カッコいいと歓喜。
一家が危惧していた事は何も起こらず、秘密にしていた事は皆に温かく受け入れられた。
学校に呼び出された両親は、何事かと思い恐る恐る話を聞くと、我が息子の事だったが…
校長や教師達に褒められるは、息子に賞賛の声が多く、子供たちは大喜びだった。

息子に打ち明けるきっかけを聞くと、ファレルの名が出て、礼を言いに訪ねたという。

『フイリップ君、リチャードの力を素敵と言ってくれて、ありがとう。私達以外の人から、そんな事を言われて感激したわ!』リチャードの母はファレルを抱きしめる。
リチャードの父も抱きしめ、『私も嬉しいよ、ありがとう。フイリップ君さえよければ、この子の友人になってくれないかな?生き物の友達は多いが、人間の友達はいなくてね』リチャードの父はファレルに頭を下げた。照れたリチャードは言った『ファレル、僕いや私の友になってくれ。よろしく頼む…』

もじもじして固い表情で握手を求める相手に、どうしょうか悩むがリチャードは憎めない。
ファレルが『いいよ』と返事すると、リチャードは『おお、心の友よ!』ファレルを抱きしめた。
ファレルはリチャードにとって初めての、人間の友人になった。

数年後、士官学校を卒業したファレルとリチャードは、竜騎士団に入隊。
共に貴族の家柄に加え、誰もが見とれる背の高い美男なので、
バロン中の女性から「彼氏にしたい・結婚したい男」の的となる。

先に入隊したリチャードは、戦場やそれ以外での数々の武勲と功名から、
城の兵士・竜騎士団の皆から「エース」と呼ばれ、生き物と会話する事が出来る偉人、
と有名人に。国民は「バロンいきものがかり」と呼び、リチャードは一目置かれていた。
その噂を聞いた時のバロン国王ヘンリーは、リチャードを召し抱え王の近臣に。
後から入隊のファレルと竜騎士も兼ね、二人は命つきる時まで王に仕えたのだった。

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死後の世界にも天高く空と光が輝き、陽が昇り沈み暗い様子は無い。
人間の世界と同様に変わらぬ建物にある、活気ある店の前で3人の男達が話していた。

『二人とも、今宵は冬の夜空に三日月が綺麗だ。一緒に月見酒でもどうかね?』
『良いですな~お誘いありがとうございます、是非とも!リチャードも行きますよ』
『すまんが私は行かぬ、月よりも我が可愛い息子を見ていたいのだ…ぶつぶつ』
話すのはクルーヤとファレル、人間界を見るリチャード。
『またですか?よく飽きませんね…毎日の息子観察。いや、監視と言うのが良いか』
『そうとも言うな。そなたの好きなハンバーグを作ったが、食べに来ないかね?』
『黙れファレル、この変人!クルーヤ殿が作ったハンバーグだと!食べに行きます!』

この3人のゴーストは週一回、死後の世界で「お父さんの会」を店主クルーヤ夫妻が経営する店、
居酒屋「月のうさぎ」で集まり、美味しい酒に料理を楽しみ、思い出話を肴に交流していた。
人間界と死後の世界の玄関口、「ヘブンズドアー」の番人クルーヤの温かい人柄に惚れたリチャードとファレルは、リチャードの妻のエリナとクルーヤの妻のセシリア、知り合った死者に自分たちの先祖を交え、
「月のうさぎ」でイベントにパーティーも行っている。兄とも父とも慕う面倒見のいいクルーヤが、よく知るセシルの実父と判明しても、3人の男達は友情を深め、親友…心の友になった。

『リチャード、そなたには苦手な事はあるのかい?』『ぷぷぷ…思いだしました』
『ファレルめ、失礼な。私が苦手な事は、異性の、女の気持ちなぞ難しくて解らぬ。
独身者の頃、女に「私と一緒に踊りましょう!」と誘われたが…実は私は、踊りがとても下手だ。
城の舞踏会では不思議な踊りをしてしまい、その場を凍らせた。結婚して妻と踊っても周りは笑ってな、それなのにエリナは…』リチャードは顔を赤く染め咳払いすると、グラスの蒸留酒を一気飲みした。
『エリナはな、そんなリチャード様も素敵です、ますます旦那様が愛しいと言ったのだ』
『ひゅーひゅー、お優しい奥方で貴殿は救われましたな~』『ウフフ、エリナさん可愛いわね!』
ファレルとセシリアは微笑み、クルーヤも目を細め、照れ屋の男に『愛されてる~』と笑って言った。

『そんで、そんで、フィリップに聞いたが。もっとも苦手な事があるのだろう?』
『ファレル貴様~!余計な事を勝手に、クルーヤ殿に話すなーあわわわ』
『ふふん、いいじゃないですか。この際、正直に言ってスッキリしましょうよ!』
『私は物心ついた頃から音痴、強力強烈な音痴だ。このおかげでモンスターに襲われても、
戦場では相手を傷つけず歌を歌い上げ、戦意を失わせ自分と民の身を守れた』

『両親は治れるものならと、多くの医者や学者に診察させたが…治らかった。音痴を知った妻は気にしてない、それも私だけの個性だ。妻として誇らしいと言ってくれた、今思い出してもありがたい言葉だ。妻と息子の弾くピアノに合わせて、歌を歌いたかった。なのに…これで歌は駄目だった。聞かれよ!ぼげーほげーボゲーホゲー♪ブッ飛ばせ、かっ飛ばせ、わたし、リチャード~~!!』

ガタ、ガタタ、ガタタ、グラグラ、グラグリ…店内は声の震動で大きく揺れる。

『ムッ、リフレク、シェル、プロテス、ブリンク!皆こっちにおいで』
危険を察したクルーヤは防御の為に白魔法を唱え、妻とファレル、他の客を誘導し守る。
『う~む、こりゃ強烈だねえ!強靭な戦士や凶暴なモンスターが萎えるの、よく解るよ…』
『クルーヤにおわかり頂けて良かった!リチャードもういいです、止められよ~!』
リチャードの歌が止まると、揺れが修まった。店内は客達から安堵の声が聞こえる。

『そなたの望み、おじさんもよく解るよ。同じ子を持つ親として、私も協力したい。私に歌と踊りの音痴を治すのを、手伝わせてくれぬか?』『え?クルーヤ本気ですか』『フィリップ、私は本気だ』
心配するファレルに、大丈夫とウインクするクルーヤ。リチャードはクルーヤに土下座し言う。
『おお…嬉しいです!心の友よ、クルーヤ殿よろしくお願いいたしまするる~!!』
温和な宇宙人父と、生き物に愛された父は固い握手と抱擁を交わす。
『今度の満月の夜においで、この二つを治療するよ。私にかかれば大丈夫だあ~』
『リチャードさん、「ゴールドフィンガーのクウさん」にまかせて!心配ないわよ』
ゴールドフィンガーのクウさんとは、クルーヤの使用してた別名なのだ。
クルーヤ夫妻に励まされ、ドキドキワクワクのリチャード。『お、お…お頼み申す』
『クルーヤは、あの酷いのをどうするのだ?特に殺人兵器、猛毒と言われた歌を…』ファレル疑問

満月の夜、居酒屋「月のうさぎ」に集まった、クルーヤとリチャードとファレル。
クルーヤは月に向かって両手を上げ、目を閉じて深呼吸すると、こう叫んだ。
『燃え上がれ私の小宇宙よ、私に流れる月の民の血よ、彼がダンスが踊れるようになれ!
彼の酷い音痴を治し、美声を授けたまえ!リチャード行くぞ!ドーーン!!!』
『わわあーーああああああああああああーーー』ヒュュュ~~~、ズドドドドドドド……
クルーヤの両手指から放たれた、眩しい大きな光の波動にて、リチャードは高く宙に飛び、顔面から墜ちる様に倒れた。暫くして起き上がったリチャードは、黄金色の光に包まれていた。
『なんという豪快な治療法だ、やはりクルーヤという人…カッコいい!!』ファレル涙。

『治療完了。一晩ゆっくりして、明日はびっくりおったまげ~!だよ』
リチャードはクルーヤに言われた様に、妻と先祖達の待つ集落に帰り休息をとった。
『どれ、私の歌声はどうなったか。おお美しい、踊りも軽やか、これは楽しいのだ』
♪ふんふふ~ん♪ふんふふふふ~ふっふふ♪鼻歌しながらスキップするリチャード。
彼は1人秘かに秘密特訓を重ね、だんだんと自信がついたころに妻エリナとファレル、
ハイウインドとファレルの先祖達の前で、歌とダンスを披露した。

『これから私は、国の流行歌「オラ、バロンが好きだ」を唄います。聞いて下さい、ミュージックスタジアム!』リチャードはランニングするように手足を動かし、氷の地を滑るように体全体を動かし。
右に四回転してジャンプ、左に四回転してジャンプ、体が柔らかいので「イナバウワー」を決め、後ろにバック転をし、軽やかにダンスしジャンプ。そこには美声で歌う華麗なダンスの、元音痴の男がいた。

♪♪ハァ~~山があり、海川がある。
城が有って~~王様いる。王様は民思い、
国中、毎日グールグールー♪
♪オラ、バロンが好きだ。
オラ、バロンが好きだ。
やっぱりオラの故郷~♪
可愛いあの子がー待っているから、
土産買って帰ろう~♪
♪♪オラ、バロンが好きだ。
オラ、バロンが好きだ。飛竜も大好きだ~♪
♪オラの好物ハンバーグー息子も大好きだ~♪
♪ハイナと!♪え…なにい~貴様か、邪魔するな!

『ファレル何をするーーー』
『ちょっと失礼。ここは私が歌いますー後から歌詞を加えましたーハイよハイよ~』
そこにファレルがジャンプしながら乱入して、歌の最後を歌った。

♪♪オラ、バロンが好きだ。
オラ、バロンが好きだ~
妻と娘が大好きだ~
娘の好きなパンケーキー、
オラも大好きだ~!ハイナ、ハィナ♪

歌の終了後、そこには拍手の嵐が響き渡る。『ファレル、良いところに乱入するな!私がメインだーこの主役だ!』元・踊りが下手で、元音痴のリチャードは目立ちたかった、ちやほやされたかった。乱入した男は悪びれるどころか、リチャードにクスリと笑う。
『これは私が6歳の頃に作った曲です。』
子供の頃に「バロンの神童」と呼ばれたファレルである。
美声となったリチャード、ファレルとクルーヤと3人でダンスコーラスユニット「オ・トッオーチャンズ」を結成。死後の世界でスーパースターとなり、悲しむ者に笑顔と希望をもたらした。

リチャードの踊りが上手くなり、強烈音痴を治してくれた方にお礼をしたい。その方に会ってみたい!
さっそくハイウインドとファレルの一族で、クルーヤの仕事場「ヘブンズドアー」前の、カフェレストラン「ムーンスター(夕方から居酒屋・月のうさぎ)」にお礼参りに出向いた。
クルーヤ夫妻は大人数の来客に驚いたが、微笑みを浮かべ皆に丁重な、おもてなしをした。

ハイウインド家の男には、竜と話をする心を開かせる能力だけでなく、もうひとつの能力があった。
その能力が開花するのは、男が「運命の相手」に出会い、人生最大本気の恋を知ってから。

『ハハハ、聞いて下さいよ。あの時、恋したリチャードは…こんな行動を』
『黙れ変人!この私より、女たらしと呼ばれた貴様の事を話さぬか!』
『おや、君らの恋の話かい?これは楽しみだ。なあ?セシリア』
『ええ!お二人の恋話、聴かせて下さいな』妻のセシリアが二人の前に、
小皿に盛られた野菜の漬物を出す。セシリアの漬物は、この店の隠れ名物だ。
『良いですよ。でも先に、あなた方ご夫婦の馴れ初めを』
『うむ、それはお聞きしたい!クルーヤ殿が月にいたときから話されよ』
『おや良いのかい?じゃあ遠慮なく。昔、昔の事だった。月にいた頃の私はね…兄のフースーヤと』

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本当にピチピチ若い頃の、月の民クルーヤとフースーヤの日常。
民の中で魔力と戦力、実力のある兄弟がいた。弟のクルーヤは恵まれた体躯に高い背丈、魔法と剣術を使い。兄のフースーヤは弟ほどでないが、他の民より背丈はあり魔法と弓と槍を使う。この兄弟は白・黒魔法を使い「月の賢者・勇者ブラザース」と呼ばれた。彼らは月の地下深層に封印される、邪悪な心を持ったゼムスの監視をしている。またモンスターハンターとしても凄腕で、月の何処かでバトルしている。

『クルーヤ、メテオだ!』『兄上、いいですとも』『『メテオ!!』』
ズババ、ズババ、ズババババーーーン!!兄弟のダブルメテオで、ダメージ限界突破。
タタタタタターン!ヘビーモス3匹を倒した!1123の経験値、1224ギルを手に入れた。
『さすが兄上』『やったな、今晩はご馳走だ。皆が好物ヘビーモスの肉!』
『ステーキか煮込むか、骨付き肉のままガブリ。どれも迷う!後で兄上に大切なお話があるのです』
フースーヤはクルーヤが話とは珍しいと首を傾げた、弟はきっと「他の民より、自分の肉は大きめにして」とこっそり言うのだろう、食いしん坊だな。そう思い月の舘を目指した。舘での夕食後、兄弟は話する。

『で、話とは?』『兄上、私は月を出たい。憧れの青き星に行きたいです』
これでどうなる、どうなるの?それじゃ、次いってみよう~!
パート2に続く。









  



 


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2017年06月19日

我等、恋の三銃士・前編//お父様は心配症

あの世とも黄泉の国とも、極楽浄土とも言う死後の世界。
ここは幻獣界とは逆に、時間の経過が遅く緩やかだ。もう死者は歳を取る事は無い。
この日もこの何処かでは、一人の男の大声が響きわたる。それを見に来た知人の男は….

情けない、何をやっている我が息子ながら情けない!それでもバロン男子か。
しっかりしろカインー!私の声が聞こえるかーーーーー!

叫ぶのはプラチナブロンドを長く伸ばし結いた、眼光鋭く細身の引き締まった体格、
凛々しい顔立ちの男。聞こえるかーと叫ぶのは、男の毎日の日課となっている。

やれやれ、またか。奥方に主人が止めてくれないから、助けてと頼まれたが…
ここの世界でも生きていた頃と変わらず、この人は何をやっているのだ。はあ~っ(溜め息)
よく飽きませんねーあなたがここで吠えても声は届かないのですよ。
もう我々は死んでいる、奥方が大層困っているから止めてください。

見に来たのは、癖毛の茶色い長髪をまとめガッシリ体型な、甘いマスクの男。

ファレルよ、わかっている、わかっているが、なんと私の息子が女子から告白されたのだ!
しかも息子も女子に好意があり、お互いにフォーリンラブなのだ。 父として何とかしてやりたい。
甘いマスクの男は、ファレルいう名前だ。

ぷぷぷっリチャード、あなたの口からフォーリンラブとは…おっと失礼ぷぷっ。何とかしてとは?
ファレルを可笑しくさせ、吹き出させた男はリチャードという名前。

おい笑うな、決まっているではないか。私はあの二人を恋人として、カップリングさせたいのだ!

ええええー!おやおや…リチャードから思ってもない予想外の発言だ。正気ですか?

私は正気だ、そして本気だ。息子カインの行く末が死んでも心配でな。
妻は早くに死に、私も息子が幼い頃に死に、独りになったカインが心配なのだーウウウウウ(涙)

うーん…どうしたものか。この事は頼りになる「あの人」に相談しよう、そうしょう。

リチャードはかつて生前、青き星の大国バロンで竜騎士だった男だ。
彼と話していたファレルも、同じく竜騎士だ。2人は竜騎士団の隊長と副隊長という地位だった。
この2人、先祖代々で竜騎士を輩出してきた名門貴族出身。
リチャードこと、リチャード・ハイウインドはハイウインド家の出。
ファレルこと、フィリップ・ジョシュア・ファレルはファレル家の出。そう、この2人...
リチャードは竜騎士カイン・ハイウインドの父、ファレルは白魔道士ローザ・ファレルの父、
悪の手から青き星を救った英雄の「お父さん」なのだ。

ファレルは「あの人」に会いに、ある場所へ向かっていた。この死後の世界にきて、
偶然か運命か出会い、友人になった「あの人」と自分。解ったのが互いの息子と娘が
思い思われの両思い。共に悪を倒す戦士として幾多の戦いを経て、強い絆で繋がり結ばれたと。
今のリチャードの勢いは、ハイウインドの先祖達でも妻のエリナでも、ファレルでも止められない。
考えながら歩くと「あの人」がいる、大きな両扉の近くに到着した。
7色に輝く泉、数本ある赤と青の実が実る木。この世界の玄関口「ヘブンズドアー」と呼ばれる。

『来たね、いらっしゃいフイリップ』ファレルを名前呼びする、穏やかな男の声が出迎えた。
『こんにちはクルーヤ、あなたにお話しが有り来ました』相手はファレルとは友人らしい。
『ふふ。話とはあの坊や、リチャードの事だろう?』『流石クルーヤ。そうなのです』
『そうかい、じゃ居酒屋・月のウサギにようこそ。ビールに枝豆でもつまみながら話を聞こう』

このクルーヤという男は、月の民にして現バロン王セシルの父である。
リチャードにファレルにクルーヤ。この3人が出会った経緯は後々に語るとして、
人間界でー
ミシディアでは一人の男が、ある女性から「告白」されていた。
『私、カインさんが好きです。その…駄目ですか?あなたの側にいさせてください』
(この展開どうすればいいんだ、どうしょう、心の準備が出来て無い何と答えたら、い…いいんだ!)
心の中で焦る男はバロン国・聖竜騎士カイン。相手の女性は、ミシディアは白魔導士ポロム。
任務で来たカインは緊張した面持ちのポロムから、話があると呼ばれ「告白」されたのだ。
ポロムへの好印象は高いが、告白されて嫌では無い。嬉しいけど女性への対応力が少ない。

『お返事は急ぎません…答を待ってます。カインさんの後ろにいるお2人は、どなたですか?』
『ああ。死んだ俺の父とローザの父だ…ってなあーにいー!』後を振り返ったカイン驚く。
なぜか、死んだはずの父リチャードと…子供の頃に可愛がってもらった、ファレルおじ様。
ファレルはバロン王妃ローザのお父様だ。なぜ俺にゴーストが見える?でもポロムには?
『よかった、俺以外にゴーストが見えるなんて!霊感があるのか?』
『霊感というよりは、ミシディアは魔法を使う魔道士の国。なので魔力でゴーストが見えるのです』


『妻から聞いた事があります。ミシディアの魔道士は死んだ人間が見え、話が聞こえると。
リチャード、あのお嬢さんに我々が見えるとは非常にラッキーですな』
『うむ。見えるとあらば好都合!我が願い、早速お嬢さんに直談判...』
『おやめなさい、いきなり早すぎる』『何をする、早くないわ!私を離さんかー』
カインの後を見える2人のゴーストは、リチャードがファレルに羽交い締めされていた。

『ここはお嬢さんに我々が危害を加えない、恐ろしくないとアピールするんです』
ファレルは生前に数多くの女性を魅了し、失神者が絶えなかったという伝説の微笑み。
「キラースマイル」をポロムに向けて笑う、白い歯がキラリキラリと光る。
ポロムはこのゴースト...自分の知るバロン王妃様の「お父様」がする、優しい魅惑の微笑み
にペコリとお辞儀をする。もう一人のゴースト...聖竜騎士の「お父様」は笑っているのか、
眉間に深い縦皺の鋭い眼光をしてポロムを見ていた。
『父様…止めてください』『お嬢さん、この人は怒ってるので無く笑っているんだよ。君みたいな素敵な女性に会えて、嬉しいんだってね』リチャードはファレルを睨むも、ファレルはスルーする。
『はじめまして』ポロムからリチャードにもお辞儀する。カイン口をポカ~ン。

そこに悲鳴声がする。一匹のズーが白魔導士を狙い、鋭い爪を向け襲いかかる。
『ムムッ、女性の悲鳴!カイン、ファレル、行くぞ!』『助けに行くって、あの…』
『私達がゴーストだからと言って、問題無し!借りますよ』『うむ、ネコよ借りるぞ』
ファレルは飼われているオオカミに似た犬に憑依、リチャードは野良の三毛猫に憑依した。
『えー!これはありなのか』『お父様達、すごい!』

『キャット空中大回転―!ネコ騙し!からの、くらえい!にゃんこヒップホップアタッーク!』
(ネコ一匹の力ではダメージが少ない!この小さな体では…)
『ファレルよ、私を高く投げろ!キャット大ジャンプの~~ネコノツメサンダークロウ!!』
『リチャード、私も跳びます、跳びます!ウルフビックダイブからの~オオカミノツメアタック!』
ネコ一匹がモンスターの両目を潰し、オオカミ犬はモンスターに飛びかかる。

『ファレルよ、あれをやるか』『あれですね、やりましょう!』
ムーンプリズムパワーメイクアップ。ドラゴンチエンジ!!
オタスケレンジャードラゴンレッド、ドラゴンブルー参上!!
悪さするズーにお仕置きだべさ!!くらえ元祖クロススラッシュ!

リチャードとファレルは、装着した変身ベルトで竜騎士オタスケレンジャーに変身。 
リチャードはレッド、ファレルはブルーだ。二人は同時に高くジャンプし、何回か槍で貫く。 
三毛猫とオオカミ犬から竜騎士に変身した、ゴーストの攻撃はズーに大ダメージを与えた。
リチャード&ファレル『お前はもう、死んでいる。』チャララ~ン、ズーを倒し55の経験値!
103ギルを手に入れた。タララララララー

『助けてくれて、ありがとうポロム様』『大丈夫ですかアンジェラ』『この白魔導士、男だった‼』
『ファレルよ私達が助けたのは、お姉さんでは無く』『オネエさん…オカマさん、でしたね』

バロンに帰国したカインは、仕事を早めに終わらせ帰宅。
(いろいろ有りすぎて疲れた、しんどいから早く休もう…)
ベットに入り横になるも、昼に見たゴーストが気になり寝つけず。
右向きに左向きに体を替えゴロゴロ。あお向けでも、うつぶせでも、コロコロ。
やっと寝ついたのは、真夜中を過ぎた頃だった。

カイン、カイン...もう朝になる、そろそろ起きるのだ。これでは寝坊助さんだぞー

『もう朝か、昨日は驚く事があって夜は眠れなかった...起きて毎日日課の鍛練をしよう。
父様の声が聞こえた気がするが、ハハハこれは気のせいだ。』
いいや、カインよ...気のせいでは無い。私はお前の側にいる、よーく見なさい。
『ハハハ、死んだ父が側にいるなんて、そんなのありえん。』
倅よ、父の言う事が聞こえなかったのかー父を探せーーー!
『ヒヒッヒイーーーー分かりました、探しますよ!』カインは震え怖くて泣きながら、
父を探しに部屋内を見ると...よく見ると。

夜明け前のカインの薄暗い部屋、亡き父リチャードが赤色の竜騎士鎧姿で、
ベットにいるカインの至近距離で立っていた。その距離は10センチぐらい。
『うぎゃぎゃやややああああーーーーまた、なぜいるんですかぁぁーーーー』大絶叫カイン。
『よいではないか、来ちゃった...だぞっと』昨日白昼に見て、今朝も見たゴーストの父。

何やってるんですか!そんな登場がありますか。
また何処かで聞いた声。『この声は...ファレルのフィリップおじ様。どうしたんですか』
もう一人のゴーストこと、王妃の父ファレル。2人のゴースト揃い踏み。
父リチャードは、怖がっている息子に構わず話を続けた。
 
『カインよ聴いてくれ、完全に音痴が治った私の唄う歌を。二人ともバックコーラスを頼む』
『わかりました、思う存分歌ってください』『まかせるですとも!ミュージックスターウォーズ』
(3人?ゴーストは3人か?)カインが怪しんでいると、何処から白い光が現れ音楽が聞こえてきた。

♪降り注ぐ雨は、美味しい水になる-♪人間界に降りた私達。光が優しく励ますよ、
「宝物」に会いなさいと。♪喜び、嬉しくて、姿を隠さずに。現れた私達がいるのだー
♪♪ありのままの~姿見せるのさ、ありのままの~お父さんだよ。
ゴーストだ~け~ど、君と一緒にいたい。

♪心配さ、君が大人でもね。だっていくつでも可愛いのだよ。
大事な「宝物」の力になりたいのだ、それを望んでるーこの私。
ありのままで~愛を伝えたい。ありのままで~ゴーストだけどね。君が大切、愛しているよ。

♪痛みも苦しみも通り抜け、高く跳ね上ーがり前を向いーて。
風に折れぬ柳のように、強くいておくれ「宝物」よ。
これでいいのだ、私が憑いている。これでいいのだ、私達が憑いている。
♪♪光と、共にあれ~歩き出そう~私の「宝物」よ。

あの敵を傷つけずに懲らしめ降参させる、その歌声は戦術武器より強いと言われた音痴な父。
その父が音痴が治り、美声で歌っている。歌い終わったゴースト達はカインに向き合うと、
『ということで息子よ、私とファレルは此処にしばらく厄介になるぞ』こう言った。
ゴーストが厄介になる??何を言うのだ?カインますます混乱。

『カイン、よろしく頼むよ』ファレルも、カインの左手を握手し笑って言う。
『カインよ、私からも2人を頼む』そして、一緒に歌っていた白い光からも声がする。
『貴様は誰だ?』光に叫ぶカイン。『息子よ何を言う!我々の大恩人のクルーヤ殿だ。』
恩人を貴様発言した息子に、リチャード睨みつける。どういうことだ?カインぶつぶつ。
『クルーヤと私達は、あの世で知り合ったんだ。私とはセオドアの祖父同士、お互い義理の親戚だね』 
ファレルが言うと光から姿を替え、3番目に現れたゴーストは、父とファレルよりも背が高い壮年の男。
そして、ガッシリな体格の男だった。戦士とも格闘家とも名乗っていいくらいの。

『何だと...この人が、あのクルーヤ殿?え、えええええーーーーー!』カイン、再び大絶叫。
『父様とおじ様は、いったい何しにきたんですか!まさか...俺を呪う気ですね?』
『はあ?するわけなかろう。私は生前にやり残した事を叶える為に、ここにきたのだ』
あの父が生前やり残した事があると、カインは考えられない。もう一人にも聞く。

『あの…おじ様もですか?』ファレルは父とは反対に、白い歯を見せ優しく笑う。
『ああ、私もそうだよ。それと妻とローザ、セシルとセオドアに会いたくてね』
『私も、おじさんも同じ父親として、2人の望みを叶えてあげたい、協力したいんだ』
自らをおじさんと呼ぶクルーヤが、父とファレルを援護する。
父とファレルにカインは一応、どんな望みがあるのか聞いてみることにした。

『うむ。私はな...これこれこうで。あーで。ペラペラ』『私はあれしたい、これしたいペラペラ』
二人のゴーストの話を聞き、カインは思った。(ファレルのおじ様のは何とかなりそうだが、
父の方は非常に難しい重要問題がある!どうしたものか...)と頭を悩ましていた。

『んじゃ、そういう事でよろしくー』クルーヤにまで頼まれ、ひょんな事から父・リチャードと、
ローザの父でセオドアの祖父・ファレルという、ゴースト2人と過ごす事になったカイン。
いつまで同居?同棲?これからどうなる?
≪後半に続く≫




trkeko at 06:07|PermalinkComments(0)

2017年06月18日

名前がナイショの男たち

BlogPaint

これは何処の誰だか知らないけれど、青き星のピンチに現れた謎の男と黒衣の男。
そして彼らと同行する者の話であーる。


「謎の男が仲間になった!」チャチャラーン。

僕の名前は、セオドア・ファレル=ハーヴィー・バロン。訳あって故郷バロンに向かっている。
フレイムドックに襲われて絶体絶命の所、風のように現れ助けてくれた人。

『ありがとうございます、おじさん』僕は推定年齢・父ぐらいの人に話かけ、お礼を言う。
『おい、誰がおじさんだ?』おじさんは鋭い声で、僕を睨んで言った。
この人、おじさんだけじゃ不満なのかな?こう呼んでみよう。
『じゃあ無職のおじさん』職業は何かな?商人でも踊り子でもなさそうだし、わからないな~
『誰が無職のおじさんだ…?』おじさんは更に睨む。僕は彼に『あなたです』と教えた、すると…

『私はまだ、そう呼ばれる齢では無い!この先おじさんと呼ぶな、わかったか!』と怒られた。
名は捨てたと言うし、名前を教えてくれないし、僕は何て呼べばいいの!?(プンスコ)
この人、自分が「おじさん」と認めたくないんだ。大人なら潔く認めましょうよ!(プンプン)

(ブツブツ…認めたくないものだ。己がおじさんだと?いきなりそう言うとは失礼な、いったい
どこの子供だ!親の顔が見て見たい。会ったら引っ叩いてやる!ブツブツ…ブツブツ…)

何か一人言を言っている「おじさん」と呼んだ人、この人もバロンに行くという。
僕はここまでの経緯を話し、一緒にバロンに向かう事となった。
『先を急ぐのだろ?ミシディアの町に行くぞ』そう言い早足で進む謎の人。
謎さんを「おじさん」以外の違う名前で呼ぼう、それなら怒らないよね。そうしょう。

ミシディアの町で―
腹ごしらえに町の定食屋に寄る、僕と謎の人。
『あの、チーズさんは納豆に入れるのはネギ派?それとも刻み海苔派ですか』
『私は辛子派だ、って今度はそう呼ぶのか…?おかしな名で呼ぶな!』
おじさん呼びは禁止されたけど、ずっと名無しなのは不便だよ。
名無しさんよりチーズさん呼びのほうがいいのになー。何故なら…
店であの人が食べてるのは、チーズインハンバーグ・大盛サラダセットだから。

祈りの館で―
ポロムさんにあの人誰?と、チーズさん(仮)の事を聞かれた僕は、
『はい。キラキラさんと一緒です』こう答える。ポロムさんは笑わない様に、グッとこらえていた。
チーズさん(仮)金髪だし、今度はキラキラさんと呼ぶなら怒らないよね。
『私がキラキラさんだと?何なんだブツブツ...行くぞ!』キラキラさんは足早に進む。
ポロムさんが付けてくれた、僕らとバロン城まで同行する黒魔さんと白魔さん。
『セオドア様、私たちも呼ぶのですか...』2人は困った顔をした。
僕はそう呼んでくださいと言う、キラキラさんと名前がある方がいいよ。うんうん。

デビルロード、セーブポイントにて―
『バロンまでもう少しだ、ここで休んでいくぞ』キラキラさんが言うと、
黒魔/白魔『そうですね、キラキラさん...』黒魔さんと白魔さんが声を絞りだす。
『は...?あんたたちまで言うか!セオドア、変な名で呼ぶなと言っただろ!止めろー』
『じゃあ、一文字変えてキキララさんで。それならいいですよね』
『まったく、何なんだ...親はどんな教育をしているのだ...ブツブツ』

バロンの町で―
『城の門番に追い返されたから、中に入れないな』『たくあんさん、どうしますか?』
『昔の水路から入ろう、鍵を管理している者の所へ...ってそう呼ぶか!』

昔の水路内で―
『たまごさんは、カップラーメンの味は塩味派?しょうゆ派ですか?僕はしょうゆ派です』
『私はシーフード味派だ...ブツブツ』
黒魔/白魔『このやり取り、いつまでなんだろ...』

バロン城に入る前ー
黒魔/白魔『私達はこれで』短い間でしたが助かりました、ありがとうございました。
『レモン酢さんがお2人と別れるの、寂しいそうです』僕は黒魔さんと白魔さんに言う。
『それは私の事か!ブツブツ…』黒魔/白魔『では、さようなら…』

城に入った僕とレモン酢さん。僕は父さんと母さんと、祖父代りのシドを探しに。
どこにいるのか、いないな...レモン酢さんは何かあったか、項垂れてブツブツ一人言。
そして追われる身となった僕らは向かう、ミストの洞窟へ。
そこでもレモン酢さんは、バッタバッタとモンスターを倒す。強いな、強いよキンタロウさん!
『今度はキンタロウか...ブツブツ』バンド技クロスフラッシュでアングランダを倒したよ。

ミストの村~断崖-
ずいぶん高いなーキンタロウさんはというと、断崖絶壁を楽々と崖につかまり登っていく。
ピョーンピョーン、カエルさん。ピヨーンピヨーン、ウサギさん。
僕はそれを見て、小さい頃に歌った歌を思いだした。で考え事して落ちてしまった。
落ちながら思った、今度はピョンピョンさんと呼ぼう。『セオドア大丈夫か?』

断崖からカイポへー
カイポの宿屋に泊る僕とピョンピョンさん。夜遅くにゾンビ兵が、僕らの寝込みを襲ってきた!
2人でゾンビ達を倒す。念のためにアイテムを揃えておいてよかった~さあ寝ようっと。
『危なかったですね、ピョンすけさん』『おい(怒)』

ダムシアンに向かう地下水脈-
『武器が通用しない敵には無理せず、危なくなったら逃げるぞ』
『わかりました、コロッケカレーさん』『私がコロッケカレーって…腹が減ったか?』
続・地下水脈ー
宝箱から強力なアイテム、武器、防具を一つも取り残さずゲット。
滝の奥にはモンスターオクトクラーケンが、僕らの行く手を邪魔する。
『あの足、ゲソ焼きにしたら何人分になりますかね。カールさん』
『千人分だろ、今度はカールさんか』あーゲソ焼きと言ったら、お腹が空いたよ!
オクトでなくイカモンスターを倒した。

ダムシアン城でシドと再会、ギルバードさんにここまでの経緯を話し、
母さんがさらわれたと事情を聞き、皆で飛空挺に乗って向かうはバロン城。

母さん待ってて下さい、そっちに今向かってますよ!
こっちには強いニャムニャム……さんが一緒だから。
『セオドア、それは誰の事じゃ?』『そのニャム…さんって、あの人?』
シドとギルバードさんが飛空艇の端にいる、ビューティ-カーリーさんの方を向く。
ビューティーカーリーさんは2人の凍てつく視線を感じ、顔が真っ赤になる。
『みんなで私を見るなーーー』そして、バロン城に入っていく僕たち。その先には……


「黒衣の男が仲間になった!」チャチャラーーン。

ラリホ~私、ドワーフの王女ルカだよ。突如と現れた浅黒い肌の半裸のタイタン…じゃない、
黒いマントに履くはパンツ?スカート?な裸足の男。ねえ、その服は寒くない?
その彼と私達(私、リディア、エッジさん)は一緒に行動することになったの。
まずバロン城へ行ってみると、城は封印されて中に入れない。
これを解く方法を探しに、飛空艇で世界中をめぐることに。

ミストではー
バロン城の扉を解く方法は、召喚獣の力が必要と解った私達。
半裸の男を見た村人達、「新手の魔物だー!」と大騒ぎ。
リディアが『違うわ!この人は私達の味方よ』と皆に言って騒ぎは沈静化。
信頼するリディアの話に安心したのね、エッジさん『さすが俺のリディア』とほくそ笑み。

3人で話し合った。目立つ対格の半裸さんは、この先呼び名がないと怪しまれると。
私とリディアは、かつて半裸さんが呼ばれた名をアレンジして、「ゴウさん」と呼ぶ事にした。
エッジさんはダメだ、あいつには可愛い過ぎる。それならば色黒いから「ゴキブ…」と
言いかけたところで、リディアを怒らせケンカに。それを見てエブラーナ忍者四人衆達が、
『お館様に太刀打ちできるのは、リディア殿と家老様だけだ』『あんなお館様は初めて見た』
と驚いていた。いつもの事だから私は気にしない~次は何処に行こうかな。

カイポでー
ファブールのヤンさんとアーシュラが民家に運ばれたと聞き、私達はその家に向かう。
ヤンさんを慕うシルフがたくさんいる中、民家のベットに臥床する親子を見つけた。
話しかけても起きないから、何か方法を探しにファブールに向かう。
ここでもゴウさんは怖がられたけど、エッジさんの言った「宇宙からの助っ人マッスルマン」
に皆、安心したのよ…あれでねぇ。はははは……(失笑)

ファブールでー
ヤンさんの奥さんシーラさんから、親子を起こす「愛のフライパン」「愛の玉じゃくし」
をゲット。これもとゴウさんに「腹巻き」を渡された、その服だと冷えるよ!と。
あんた名前は?と聞かれたから、エッジさん「流浪の剣豪メガクロベエ」と言った。
そうかい、身体に気をつけなとシーラさん怪しまず。まあ、いいかな…

ダムシアンでー
カイポで起こしたヤンさんとアーシュラを加え、シルフを取り戻し向かうはダムシアン城。
城内ではアントリオンが出現。私達の進む行く先を妨害する。戦わなければ反撃しないと聞いたけど、
ゴウさんを見たアントリオンは何もせず、そそくさと私達を避ける。なんで??
エッジさん「モンスターハンターキングコング」がついているから、怖くて逃げたんだと言う。
しばらく後に解ったのが、ゴウさんの「いあつ」によるものだった。
ここでギルバードさんの秘書ハルさんが加わった。ハルさんから半裸のゴウさんにアイテムを
冷えますよと渡された。「ポカポカシャツ」をゲットした。皆、気になるのね…

ここからはダイジェストで送るね。トロイアの「磁力の洞窟」奥のクリスタルルームで、
以前から気になるパロムと、なんで一緒に女がいるの!その子どこの誰なのよ!
シヴァを取り戻し、パロムと一緒にいた女の子レオノーラを加えた。
ミシディアでは、ラムウを取り戻しポロムを加えた。トロイアとミシディアの人は、
他と同じ半裸ゴウさんに驚いた。けどエッジさんの「精霊大王ドラゴリラ」の言葉で…問題無し。

エブラーナ城、エブラーナの洞窟でー
ゴウさんエブラーナの人達に、そこの方…たいそうな剣の腕前があるとお見受け致す。
お名前を教えていただきたい!自国民の質問に王様エッジさん、何か考えて言った。
『あんたを今から、こう呼ぶゴニャニャ………と。カッコいいだろう?どうだ!』
悪戯エッジさん、両目に皺を作りニヤニヤ。『俺ってセンスあるな!感謝しろよ。俺のお・か・げ』
エッジさんの言うゴウさんの呼び名が、………は?何それ??ダサいわ。
『いいかリディアとルカ、お前ら四人も、こいつを俺が呼ぶ同じ名で言えよー』
ドヤ顔の王様は何してるの?四人衆は眉間に深い皺寄せをして、何も言わず黙っている。

呆れた顔のリディアは『こんな状況でゴウさんをそう呼ぶの、エッジだけ。私達はゴウさん呼びがいい』四人衆もリディアに共感して頷く。リディアよくぞ言ってくれたわ!私も呼ぶの嫌。
ゲッコウさん達も『お館様、我々もゴウさん殿が呼びやすいです』反対派に。
おもしろくなさそうに頬を膨らませたエッジさん『うるせえ、黙って同じ事を呼べーーー』
そこに『爺やさんに、嫌がる事を強制する王様で困りますと言うよ』とリディアは言った。
『ちよっ、ちよっ待てよ』お館様動揺。爺やさんの名前は絶大な効果ね!
そしてエッジさん、おかしな名を言わなくなった。爺やさんに絞られたね。

世界を回り仲間達を集め、バロン城内に潜入した私とリディア、エッジさんとゴウさん。
『あっ、お前は…!』ある一人の男はゴウさんに驚いて『お前が何故ここにいる?セシル大丈夫か?』
ゴウさんは頭に白いターバンを巻いた男に話す。王の間で無言で対峙する、
謎の怪しい二人の男たち。両者睨み合い一歩も引かず。あなた達、こんな状況で何してるの…

『お前…ずいぶんと可笑しな名で呼ばれていたのだな』黒衣の男が謎の男に言うと、
『貴様の方こそ、呼ばれた名が変わってばかりだったのだろう?』謎の男も言い返す。
『クックックックッ……子供にあだ名を付けられたとは滑稽だ』
『何を笑う。そう言う貴様も変わらんぞ!女とバカ忍者に仮の名とはいえ付けられて』
『やはり、そっちが変だ!謎の戦士ゴールデンキンチャンだと?ハハハハ』
『ふん、お前の方だ!何が宇宙からの救世主デッカイドウ=ゴウヒロミだ』
そっちだ、おまえだ、やるかコラ、あーなにい?やんややんや、ギャンギャン…

いつ終わるとも知れない、いい年した男たちの口喧嘩。それはセシルさんが復活するまで続く…

セオドア:おふたりとも楽しそうですね!
エッジ:おいおい、あれのどこが楽しそうだーー!!
リディア:エッジも人の事は言えないでしょう。
ルカ:男って、幾つになっても子供よね~

お話これでおしまい。チャンチャン♪♪






 

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2017年06月01日

クルーヤの秘密の魔法

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ふふふ。いつも頑張っている君に、私のとっておきの"夢の魔法"を見せよう。
では竜騎士カインの所に、クルーヤがぁ~~~
くる-ーーーーーーーー!!いい夢見るのだぞ。おやすみ坊や……


ある晴れた日の午後。ここバロン城では一人の男がぼんやりした顔で、
部屋の開けた窓から景色を見てぼやいていた。

『こんな日に仕事なんてやってられん。あー今日は仕事じゃなかったらな、
仕事じゃなかったら…そうだ外に行こう!森林公園がいい。雲一つない青い空、
新緑と鳥のさえずりと川のせせらぎ、癒しの空間だ。バスケットに本と冷えたワイン。
好きな食べ物にオツヤはフルーツサンドイッチと。とっておきの紅茶に、
ハンモックも忘れずにだ。そして誰にも邪魔されない、自分だけの静かな時間。
読みかけの小説を見て、食べて飲んで眠くなったら寝ると。それいいな…いいぞ…
ふふふふ。っておい、現実逃避するの何十回目だ!どうした俺!』

部屋で一人ぼやいていた男は、赤き翼の部隊長カイン。
オツヤはオヤツの事で、そうバロンの名門貴族は子供の頃から呼ぶ。…呼ぶのは彼だけ。

彼が現実逃避したい理由。兵士の訓練に事務仕事に、世界の復興支援やら、
いろいろとエトセトラーーー忙しい毎日を送っている。
今春バロンに咲いた桜は、ゆっくり見ぬ間に風に散り緑葉に。毎年恒例・花見の宴もできなかった。なので合間に違う事を考えたりして、気を紛らわせている。

『おい、カインいるか?僕だよ。入るぞ』入ってきたのは国王セシル。

もともと国王は色白の美男だが、近くで見ると顔色が悪い。こちらもお疲れの様子。
『国王直々に何の用だ?誰にも頼めない事だろ…』カインは睨みながら言う。
『流石、そのとおーり。困った事態が起きているのさ』青白い顔で答えるセシル。

幼い頃から付き合いの長い国王や王妃頼んでくる用件は、いつも嫌な予感がする。

今年の新年会に、4月の「新人さん、いらっしゃーい会」と称した城の宴会で、セシルとカイン2人の聖騎士コンビ「あてまか~ず」による、歌と踊りありのコントをやった。城内は大盛り上がりで拍手の嵐。

3月のおつかれさん会では、特別ゲストにエブラーナ国王エッジも参加。エッジと「あてまか~ず」と一緒に、3人トリオ「エ・カ・セ」の即興漫才を披露して、人々からは大喝采の大好評。

カインはあんな事こんな事を頼まれ、何故自分だ?と溜め息ばかり。セシル・ローザ夫妻と、息子セオドア、親代わりのシドの頼みは断れない。自分を家族同然に慕い慈しむ、故郷バロンの大切な人たちに。
つい聞いて引き受ける所は、自分は人が良いなと思うが、過去への罪滅ぼしもある。
セシルよ、今度は何を頼むのか?早く話せと椅子に座り待ち構えていると、
『お前さ、前に僕とローザが話していた事…どう考えている?』真剣顔のセシルが問う。

ある日のセシル達との昼食後//////

『最近、しつこく大臣達に聞かれるんだ。カイン殿はいつまで独り身でいる?結婚しないのか?もしや女嫌いで同性が好みなのか?訳ありでも娘との見合いを申込みたいとさ。苦いから1個入れようっと』
『人を言いたい放題して、また見合いの話か…だが断る。セシル俺にも入れろ苦いばかりだ』

『ねえ...あなた達、コーヒーに砂糖をどれだけ入れるの?どんだけ!!』ローザが夫とカインのやり取りに驚く。二人の男は甘~い角砂糖を、10個以上も入れていたのだから。
『もう砂糖湯です…』見ていたセオドアも口を空け茫然。『えっ、この飲み物は何処がいいのかい?』『フッ、この俺のグルメで繊細な舌に合わんな』ローザは中年男達の発言に、無表情で怒りの炎を出した。そんな母にいち早く気がついたセオドアが、青ざめガタガタ震える。

『父さんとカインさん、そんな事言わないで下さい!ヒィ~母さんが怒った!』セシル・カイン『!』
『何て言ったの…?コーヒー飲みたいって言うから、ダムシアンから取り寄せたのよ…そんな事を言うなら、あなた達に飲ませるコーヒーは無い!!』ローザは強く拳を握りしめ、げんこつをゴツン!ゴツン!中年男達はたんこぶを作り倒れた。
ローザ様の機嫌がなおるまで、しばらくお待ちください…


カインが多くの見合いを断る理由は、彼の地位と名声に群がる者達から、権力闘争に利用されたくなかった。国内の混乱と争いは避けたい、自分が原因で誰かが悲しむのは見たくない、もう懲り懲りだ。
それは表向きの理由で、自分の恋愛事に怖くて躊躇している。聖竜騎士となっても、世界で二人目のパラディンと呼ばれても。この悩みを聞いた誰かは、「いい大人」が何だと苦笑するだろう。

かつて恋していたローザへの思慕が消えるのに、十数年もかかった自分。今のセシルとローザと自分は、幼馴染であり大切な友であり、「独身の兄を心配する弟・妹夫婦」のような関係にもなっていた。

若い頃セシルを愛するローザを忘れようとして、好きでもない女と関係を持っても、心の隙間は埋らず。一層深く暗い穴が続くばかりだった。この先、自分が誰かを愛する事が出来るのか?自分という男を愛する女性は表れるのか?考えられない。出した結論は、もう俺は誰も愛さない方がいいのだと。

でも…あの少女ポロムは、16も年下の娘はいつも会うたびに、見ていて愉快で可愛くて飽きない。ミシディアに行くのが密かな楽しみにしている。ポロムには失礼だが会って話をすると、ついからかってしまう。彼女の反応が可笑しくて、こらえきれず大声で笑っていた。陽の様に温かく優しいポロムが気になって。

『あーそうだわ!昨日エブラーナに行って、エッジとリディアから良いこと聞いたのよ~ふふふ知りたい?』ローザの話が気になり、耳を傾けるダブル中年男と一人の少年。

エブラーナ国王夫妻によると、ミシディアの黒魔導士・パロムが言うには、双子の姉ポロムは恋をしている。相手はバロンの聖竜騎士カイン、彼がミシディアに来る日はそわそわして落ち着き無く、お洒落に着飾り綺麗に化粧をしている。カインを見る顔が違う!何度もあったから間違いない!あのおっさんの何処がいいか謎だ!と。エッジとリディアは、『やっぱりポロムの好きな男は、カインだったか~可愛い子に好かれるなんてラッキーね』と話し、ローザと盛り上がった。3人はパロムの話に確信したという。

『本当?いや~カインよかったな』『僕も父さんと同じ意見です、ポロムさんは素敵なお姉さんです!』セシル・セオドア親子は喜びし、話を持ち出したローザは『そうでしょう?私が男性なら即お付き合いするわね、カインに春が来てくれて嬉しいわ。相手がポロムで大歓迎よ~』涙ぐみながら言う。『ちょ、ちよっと待て、相手は16も下だ。そんな事は有り得んな…これはドッキリか?お前達は俺を騙してるのだろう?きっとそうだ!』カインはローザから聞いた話が信じられなかった。
そんな彼に一家は怒る『は...?ドッキリじゃないよ!!』『言っていい事と悪い事があります!』
『ちよっと何言うの!カインは老後の世話をセオドアにさせたいの?自分の人生よく考えなさい!!』一家の迫力に黙るカインは、床に正座して足の痺れと説教に絶えていた…

その事が事実ならポロムに話さねば。『未来ある若い女性が、俺を好きになってはいけない。君に俺は相応しくない男だ』ポロムに話すのは辛い、笑顔が似合う彼女の悲しむ顔を見ながら。

そう思い、今に至る////

『困った事態はな。見合い話にお前の返事が無いから、待てないと痺れを切らした大臣達は、仕事を放棄してしまったんだ。登城しません、職務拒否します!とさ。参ったね』セシルは溜め息をする。
『それは本当か?』カインは驚く。『ああ。でも彼らの対応は僕にまかせてくれ、ふふふ、ふふふ…』お怒りの陛下、暗黒オーラを出しながらもニコニコ笑顔。カインも機嫌が悪いと黒色オーラを出すから、聖騎士同士お会いこ。
『セシル、すまん』『お前は悪くない。僕は…僕とローザはお前には、心から好きになった女性と結ばれて欲しいと願っている。うう...だからポロムを気にかけてあげてくれないか?頼む。あの子はいい子だよ』涙と鼻水を流す泣き顔セシルから言われ、どうしたものか悩むカインだった。

セシルが部屋から去った後、一人になるなり疲れが襲う。椅子から立ち上がると体全体が重苦しく、めまいがして足元がふらつく。ソファーで休もうと歩くも、床に崩れ落ち気を失った。


『…聞こえてますか?気分はどうですか?』聞いた事のある声に反応して目を開けると、見えたは自分専用の執務室。カインはソファーに寝かされていた。
『ここは何処だ?』側に座るす人の姿を見つけ声をかける。すると『まあ、気がつきましたか?』女性の声だった。自分はこの女とどういう関係だ?恐る恐る聞いた。『お前は誰だ?モンスターが人に化けたのか』側にいる白いブラウスに、青みがかかったピンクのスカート姿の女性は笑って、『ふふふ、私はあなたの妻です。化けてませんから!もう可笑しいわ』左手の薬指にはめた指輪を見せる。

俺の妻だと?いつ結婚したのだ?夢とはいえ信じがたい。『あなたも見て下さい』女性がカインの左手を上げると、自分の薬指にも指輪がある。『これでわかりました?』女性の白い手は温かく軟らかで、ほっそりした指先は赤く塗られている。唇は桃色のルージュが艶やかに塗られ、後ろ姿だが茶色の髪を結い上げた、うなじに見とれた。顔は見えないが妻だと名乗る女が、益々気になる。
『俺はいつ結婚したのか?』カインは女性に聞くと、『忘れたんですか?もう10年以上前ですよ』何だとーー??では、ここの俺は40代半ば辺りか。ここは夢か現実か?気になるからまた聞く。『10年以上とは…もしかすると君との子供がいるのか?』女性は笑って『いますよ、このくらい』
手で人数を表した。カインは『そうなのか?ハハハ…これは賑やかだ』苦笑いし、顔の見えない女性を見る。細身ながら女性らしい曲線、スカートから覗いた白い靴を履く足は美しい。

先程のうなじといい、カインはゴクリと唾を飲み込む。この女の顔を見たい、どんな女が自分を好きになり結婚したのか?女性に『君は俺の何処がよかったのか』と聞いた。

コホン、と咳払いした女性はゆっくり話す。『ふふふ、あなたの事は昔から知っていました。無愛想であまり話さず、甲冑姿の怖いおじさんと思っていました。何を考えているか解らない、不思議な人だったけど。森で動物と話している姿は、とても綺麗で物語のプリンセスみたいでした。それから優しい方とわかって、沢山お話をしました。楽しくてお兄さんみたいで、とっても嬉しかった。いつしかあなたへの好きという気持ちが、お兄さんとしてではなく、違うものに変わり…もやもやして落ち着かなくて、時間がかかったけど。いろいろ考えて解りました、私はあなたに異性として、一人の男性に恋をしたと。』

『俺を昔から知っているだと?誰なんだ』『まあ、私を忘れたの?よく話の続きを聞いて下さいな』
話の推測からすると、彼女は年下の女性であろう。話の続きを待つ。おじさんと呼ばれガックリだ…

『あなたを好きと解ってから身内に、あの男の何処がいいのか?根暗で陰険っぽいから止めた方がいい、と言われ頭にきて口喧嘩をよくしました。でね私、そんな事は無い。素敵で優しい良い人だ!って言い続けていたら、身内も折れて密かに応援してくれました。珍しく結婚式の時に号泣したんですよ』
自分が根暗で陰険とは、そんな風に捉えられてるなんてショックである。カインがそう言われたのは今に限った訳でないが。自分が女性から「優しい良い人」なんて言われたら、実はとても嬉しい。
『あなたが気になって、頑張って話しかけたんですよ。接してみると実は無器用で繊細な人。あと寂しがり屋だなってわかったんです。でもね話しても言葉は短くて、そっけなくて、何かとからかわれてばかり。諦めた方がいいかなと思ったとき、不思議な夢を見ました。夢の中で白い光が私を励ましてくれたんです、君の真っ直ぐで一途な思いは、ちゃんと好きな相手に伝わっている。向こうは嬉しくて恥ずかしいのだよ。大丈夫、自分の気持ちに自信を持ちなさいと。それから諦めずにいたら……突然あなたから好きだと告白され、お付きあいして結婚しました。そうなって私とっても嬉しかった…愛する人と結ばれて、お嫁さんになって、大好きな人の側にいられて幸せです』話終わり、恥ずかしそうに頬を赤くする女性。

この自分が女性に告白して、付き合い結婚した。いや、夢を見ているからだ。不思議な夢の中で。

『カインさん、解りましたか?私、あなたをお慕いしています、昔も今も。それは覚えていて欲しいですわ。あなたを愛してます』正面に、ずっと見たかった女性の顔が見えた。
その女性は、カインのよく知る……の顔をしていた。気になる「彼女」の顔で。
『私を忘れないで下さいね』女性はそう言い、カインの額に口づけし優しく微笑んだ。

『君は、君って、あの、その……だったのか!』カインは驚きソファーから起き上がったが、
また急に強い眠気が押し寄せ、両のまぶたを閉じた。



カイン、カインよ…見た夢はどうだったかな?そなたの見たのは、未来の自分だ。
兄弟と同様、白魔法と黒魔法両方使う私の、とっておきの「時の魔法」だよ。
私の息子達を助けてくれて、私の愛する青き星を守ってくれてありがとう。
お礼も兼ねて、私はそなたがどうしているか気がかりなのと話したい事があり、こうして現れたのだ。

(は?俺が気がかりだと?何者だ、姿を見せろ)謎の声で気がつき、目を覚ましたカインは叫ぶ。
ふふふ、じゃあ~ミュージックショースタート!いくぜ、カモーン!!
目を開ければ、そこにいるは真っ白な空間。上から一筋の白い光がカインを照らす。
『ここはどこだ!おまえはなんだ!』カインは光に向かい怒鳴ると、なにか聞こえる。
『そなたに捧げよう、私からの人生賛歌を聞いてくれ。♪♪ルルリラ~ルルルン~♪』
男の低い艶のある、ミュージカル俳優や歌手に負けず劣らずな美声で、光から歌が聞こえた。

『♪この僕は恋愛に臆病な男なのさ~それでも僕には~愛しい人がいーるのさ、ラララー♪恋をした竜騎士は~風のようにフワフワしてるーきっと恋しい人に~会いたいのだろうーそうだね!僕の一番恋しい人よ~君が好きと伝えたい~そして君を離したくない強く抱きしめた~い♪』どこの唄の歌詞か?光が考えたのか?歌詞の内容は自分の事か?と混乱する。しかし、いい歌声だと聞き惚れていた。

『うああぁ~なんで光が歌っているんだ!?』カイン、口をポカーン。
『やぁ、始めましてでもないね。この声で私が誰かは覚えているかな?』光はカインに尋ねてきた。誰だ誰だで眉間に縦じわを寄せ、ますます混乱。よく耳を澄ませば、聞いた事のあるような...記憶をたどっていくと、ある人物が浮かんだ。その人物は……
『えっ…もしかすると、あ、あなたはあのクルーヤ殿なのですか?』カインが光に問うと、優しく答えた。『ふふ、そのとおーり!そうだよ。私は月の民クルーヤ、試練の山で我が息子セシルと、そなたに聖なる力を授けた者だ。そなたの事はいろいろ知っているぞ、私の姿を見せよう』光はカインの正面に近寄ると、人の姿になった。目の前に現れたのは予想を超えた.....自分よりも高い背の男だ。

『あの、あの、クルーヤ殿ですよね?』息子のゴルベーザに似た、筋肉隆々な背の高い男。
年齢は40代半から50代あたり、白いロープ姿の短髪で顎髭を伸ばした月の民。親友セシルの父でもあるが、穏やかな優しい顔にマッチョとは!セシルもそうだがゴルベーザといい、少年ながら力持ちなセオドアといい、月の民の血恐るべしである。カインは震えビクビクするのだった。

『おやおや、そんなに怖がらなくていいよ。おじさんの近くにおいで』クルーヤの微笑む顔が、セシルに似ている。『は、はあ…』カインは自分の過去にした事に、クルーヤが怒って罰を与えようと現れたのだと思っていた。白か黒かの魔法で?太い腕から振り下ろされる拳でパンチか?脚蹴りか?関節技か?
あなたからの罰を、俺は喜んで受けようと強く目をつぶると…そんな事はすること無く、
『君は恋をしているねー自分ではそれを認めたくないのだろ?』クルーヤはいたずらっぽく聞いてくる。

『違います!俺は恋なんてしていません。あなたの戯れ言です』カインが否定すると、クルーヤは優しい顔から一転。怖いモンスターの様な形相になった。腕組みをしたとたん空と地はゴゴゴと響き、大きく揺れ、立っているカインも揺れる。『そなた、私になんと言ったのだ?私は本当の事を言ったのだぞ!』
クルーヤは、長男の「いあつ」を出して怒る。『ひぃ~すみません…本当です』怖いが謝るカインだった。

『ああ、嫌だ嫌だ。おじさんガッカリだよ、それでも男の子か?この軟弱者!いつまで過去を引きずるのだ?ズルズル君と呼ぶぞ。あっそうそう。息子の嫁の父君から、自分の昔を思い出しますー君の恋をおじさん応援しているよとな。』息子セシルの嫁=ローザ、父君=亡き竜騎士で妻はミシディアの白魔道士だ。妻は存命してバロンの城下町で暮らしている、捕まると話が長くなるセオドアの祖母である。あの世でローザの父親と知り合うとは死後の世界もわからんと思う。

『俺をズルズル君なんて言わないで下さい。誰も好きにならない、そう決めたのです』
『まあまあ、そなたのご両親からも伝言を預かってきたぞ。聞きなさい』早くに死んだ自分の両親もだと!クルーヤはローザの父親だけでなく、父と母とも知り合うとは...恐ろしくてゾクゾク震える。『母君は...カインはやればできる子!諦めないでとな。父君は...この馬鹿者め。好きなら嘘をつくな!!男なら根性で告白だと。そなたは死んだ両親にも愛されているじゃないか。愛する資格がないだと?そんな事は口にして言っちゃあ、よくないぞ』クルーヤが口を尖らせる。

『そなたが恋をするのはダメだと、どこの誰が言ったのだ?頑なな気持ちの、そなたの思い込みではないのか?そう考えるのは終わりにしなさい。そなたは娘に愛されて良いのだよ。人生には悪い事も良き事も全て無駄では無いぞ!人は誰しも過ちはある…その事にこだわり続ければ幸せになれぬのだよ。私も青き星に来た若かりし頃はな…いろいろ人に裏切られ、人が信じられなくて荒れた生活をし、人を避けて過ごしていた。そんな生き方を変えたのが...ある女性との出会いだったのだよ。あのときの彼女は可愛かったねえーふふふ』クルーヤが照れた様に言うと、カインは彼にしては珍しくピーンときた。きっと、その女性は大切な人。
『セシルとゴルベーザの母親ですね』そう言ったカインに、クルーヤは『そうだよ』と答えた。

『セシリアと出会って、お互いに愛して。一人だった私は孤独から抜け出し暗い世界から、明るい世界へと入ったのだ。そして家族が出来て、私が死ぬまで幸せだったね。カインよ、今までの過去は変えられないが、これからの未来は変えられるのだ。後ろを振り返るな!前ばかり見るな!しっかり両の眼で今を見なさい。数奇な運命を経て試練を乗り越えた、今のそなたなら大丈夫だ。自分に誇りと自信を持ち、そなたを慕う心優しい白魔導士の娘の気持ちを受け入れるのだ。そなたは娘を愛する事ができるよ。一緒に幸せになるのだぞ、さあて、歌のクライマックスといこうか!!』
クルーヤは両腕を大きく振りながら自作自演の歌を歌う。
『♪あの日あの時、あの場所で二人は出逢わなかったらー♪いつまでも寂しがり屋の竜は一人ぼっちだったのさ~♪♪乙女は竜に愛を捧げ~♪竜も乙女に心開きー愛して愛されたのさ~カイン、そなたの事だ!♪♪君は一人ではない~友や仲間がいるだろう♪闇を切り抜けー茨の道をくぐり抜けー君は試練に打ち勝ったヒーローだ!君は今、光ある世界に立っている~愛する人の手を離さず掴み~人生を共に歩むのさ~君に幸とー栄光あれ~♪カインよ、さらばだ!!』

長男同様「いあつ」と背丈があり、次男と同じく優しい顔にガッシリ体型の、クルーヤの姿が消え周りが暗くなり、再びカインは意識を失った。また眠りに付く….

気が付いて、ゆっくり目を開けると空は薄暗くなり、夜も近い時刻になっていた。
頭の下には心地好い感触、床に倒れたはずなのに、いつの間にこんな極上の枕で寝ていたのだろう。この上質な枕は城の備品か?これは自分が買い取るかと触ると…温かくて柔らかい。『これは人間の体か?誰だ?』体を起こして振り向くと『あれ?何故、君がここにいるん...』
自分が枕だと思っていたのは、枕でなくて『え、えええ!俺は、俺は何て事をしたのだー』カイン大声で絶叫。ソファ-に座り、うたた寝をするポロム。寝ていたのは彼女の膝枕でだった。
『ん、んーあれ?私ったらいつの間に寝ていたのね』その絶叫の声で目が覚めたポロム。
『ポロム、君がなんでここにいるんだ?』大慌てで動揺のカイン。『今日はバロンとミシディアの交流会の打ち合わせで、会う約束をしてたんですよ。もしかすると忘れてました?』ポロムはムッとして言う。そう言われてカインは壁のカレンダーを見ると、今日の日付に大きく赤丸があった。『すまんな、そうだった』思い出すと数日前、セシルとローザから交流会をしたいから幹事を頼まれた(問答無用で押し付け)が、どうすればいいか困っていたらポロムに声をかけられた。『私もパロムの代わりに幹事をやる事になりました、よろしくお願いしますね』と。 忙しく急いでいたのもあり、心強い味方に『この日にバロンに来て欲しい』そう約束して赤丸までしたのだ。言われるまで忘れていたが。


『いいです。カインさんが無事でよかった…倒れていたから何かあったのかと心配しました。レビテトの魔法でソファーに横にさせましたが…顔色を見ようと近くに寄ると急に腕を引っ張られて、あの…膝枕に。困っていたら、そのまま私も眠ってしまいました。何にも無くてよかった…』ポロムの両目から涙がこぼれた。
自分を心配して、自分の為に流したポロムの涙。
お節介にわざわざ現れて、いろいろクルーヤの言った様に、怖がりだった自分はこれっきり。
少しずつ前向きに歩んで行こう。カインはクルーヤに励ましと勇気をもらった気がした。

『さて、もう夜になるな。よかったら夕食を一緒にどうだろう?膝枕の詫びもしないとな。今の話は君が嫌でなければだが』カインはポロムの顔を反らさず、ポロムの目を見ながら話した。
『まあ、そんな…嬉しいです。いいですよ、喜んでご一緒します』ポロムが自分を見つめながら、穏やかに微笑むと、つられて微笑むカインがいた。『ありがとう...ポロム』

それから、それから、この2人がどうなったかというと。
バロンとミシディアで、頻繁に相手の元を訪ねる、カインとポロムの姿を見かけるようになった。

バロン国王一家とミンウ長老は大歓迎、カインは見合いを強制されなくなって安心。
若き次の長・ポロムの双子の弟パロムは、皮肉を言いつつも二人の仲を応援する。
カインはミシディアの人々から、「ポロムの旦那様、ナイト様」と呼ばれていた。

また毎年には。暖かくなった春の桜咲く頃、緑豊かな初夏、梅雨の紫陽花が見事な時期。
暑い夏の涼し風吹く海岸、秋の美しい紅葉、冬の白い雪景色。
その場所には...手を繋ぎ道を歩きながら話をする、仲の良い2人も多く目撃された。

バロン城のカインの殺風景な執務室に、置かれるようになったのは。

子供の字で「とうさま、だいだいだいすきだよ」「とうさまみたいなつよいりゅうきしになる」
と書かれた手紙、絵や工作物が立派な額に入れられ、いくつも壁に飾られた。
暖色の小物と、机に異国で作られた花瓶。そこに四季の花が置かれた場所で、
鮮やかに咲いていた。それらをカインが大切な女性を思い、優しい顔で見つめていたという。
               

                
 


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2017年03月25日

見上げてごらん夜の星を 今宵エブラーナ城にて。

この話の主役は…可愛い幼妻と結婚後も、お互いに相手が益々好きになっている、妻と年齢差を感じさせない仲の良さから、国の民からは「国一番の幸せ者」と呼ばれる新婚の聖竜騎士ではない。

また、その彼は家族も同然。惚れた女性との回り道をして始まった、恋の行方を心配しながらも組織ぐるみで全面サポート・全力応援。彼のこれからの人生の幸せを願い、愛する女性と結ばれた事を大喜び。

『フフフ~これから家族ぐるみで付き合える。ラッキー!新婚夫婦の家に遊びに行こうね。その日が楽しみだな~カインは嫌がるだろうけどねぇ…まあいっか!』と。聖竜騎士を師と慕う愛息子と、いつも親子3人顔を合わせれば話している、「お節介夫婦」こと某大国のおしどり国王夫妻の話でもない。
 
主役の二人は、エブラーナ国王エドワード・ジェラルダインことエッジ。その妻はミスト村出身の黒魔導士兼召喚士のリディア。二人は十数年前の月の戦いで、運命的な出逢いをした。エッジは頼んでもいないのに話したくて、熱く熱く語りだす。『へへっ、俺の沢山あるリディアとの話を聞かせようか!』

『あいつを見たとたん、俺のハートに「惚れてしまったぜぇー」と熱い矢が刺さったんだよ!そう、リディアに一目惚れしたんだ!今も可愛いけど、ああ~その時は妖精というか神秘的な美しさだったぞ。このエッジ様はな~お前の姉ちゃんに一目惚れをした、あのバーカインの大先輩なんだぞ。どうだ!』

『あっそ、そうか。よかったなーはいはい』『おいおい!パロム君ってば冷たいなーそれでな、こんな事があってなーリディアと俺はこうで、こうでなっ…おい!俺の話を聞いてんのか?』

『いい年したおっさんがうるさいんだよ!』『おっさんと呼ぶな!俺はまだ39歳だ』『今度40だろ!』

話し相手は黒魔導士パロム。双子の姉がバロンに嫁ぎ、その夫の聖竜騎士とは今や義理の兄弟。
いつもパロムに『あんたさ、いつもしつこいんだよ。壁にでも話して聞いてもらえ!この万年リディア馬鹿!!』と言われても、へこまず懲りずにしつこく話す、誇らしげな顔のエッジだった。
エッジとリディアは…ミストとエブラ-ナの遠距離+長年の交際を経て、強い絆で結ばれた忍者の国エブラ-ナの国王夫妻である。忍ばずとも忍ばない暴れるぜ、ワッショイ、ワッショイ!!


「お節介夫婦」から仲を取り持たれ、今や夫婦となったエッジとリディアには子供が二人いる。

一人目は真月から連れ帰った、宇宙人…謎の生命体マイナスの幼体、幼虫じゃないのよ…。
見た目は人間の年齢でいうと8,9歳ぐらいの、可愛いい小さな女の子だ。

その子はリディアが引き取り、ミストの村で育てる事にした。リディアは彼女にクオレと名付けた。
以前は感情も無く無表情だったが、自分も一緒にクオレを育てるとミストに来たエッジと、優しいリディアによく懐き、他所から見れば仲がいい親子のように見えた。リディアは自国から遠いミストまで来るエッジを、3人で過ごす内に今まで知ることの無かった、新たな魅力を見つけ頼もしく思い惚れ直した。

(エッジって子供の世話好きで、意外にイクメンよね!いつもありがとう。私、あなたが好きよ)

3人揃って一緒に寝食を共にし、いつも時間が過ぎるのも忘れ、日が暮れるまでエッジがエブラ-ナに帰るまで一緒。段々とクオレには少しずつ人間の女の子らしい表情や感情、軟らかい優しい話し方が出てきて、エッジとリディアは抱き合い手を叩いて大喜び。クオレが自分の一人称を、『クオレは...だな』から『私ねーこうなんだよ』と言うと、2人は可愛いい~お願い、もっと言って!と何度も拍手をした。

エッジとリディアはクオレに、クオレが大好きだよ大切だよと言い、幼子特有の軟らかな体をたくさん抱きしめる。または頭を撫でスベスベの頬にキスし頬擦り。クオレに『止めて』と言われても続ける。

『エッジ、私達ってお互い親馬鹿だよねー』『そっちがオヤバヵじゃないか~☆』『クオレが愛おしくて、たまらないよー』『クオレは天使だな』と2人揃っては、相手のクオレを溺愛する様子に笑いこけ、自分達が親に幼い頃そうしてもらった様に、愛しいクオレに優しくも厳しさもある愛情をたくさん注ぐ。

エッジとリディアはクオレの寝顔を見て、真剣に話した事がある。自分達とクオレは血が繋がらなくても、もう3人は一つの家族だ。クオレには父親と母親なのだ。エッジは意を決して恋慕うリディアと夫婦となり、これから人生を一緒に歩んで行きたい。リディアとクオレを自分の元へ迎えたい。王として治める国エブラ-ナに彼女達を連れて行きたい、ここで家族として一緒に暮らしたいと思った。そして思いきってリディアにプロポーズの、リディアからもエッジに逆プロポーズがあり.....

2人は長年の想いが実り、エブラ-ナで盛大に婚姻の儀式が取り行われたのだった。

挙式前にエッジはエブラ-ナの民が、リディアとクオレを王の妻と娘として認めるかどうか?
不安で不安でガタガタ震えて、どうなるか彼女達をエブラ-ナに連れて城に入ると…
震えていたエッジの不安を余所に、エブラ-ナの民はリディアとクオレを見るなり大歓迎。
城には大混雑ができ、リディアとクオレを王の妻と娘として、温かく優しく迎え入れたのだった。

やっとやっと、お館様が結婚だ!我々も待った甲斐があった。あの美しい妃との間に可愛い姫君がいたなんて、エッジ様もやるなあー皆様お幸せに!我等は応援してます!と民は話す。

クオレはエッジとリディアを名前で呼んでいたが、今では『お父さん、お母さん』と呼ぶ。

もう一人は、昨年秋の11月22日「いい夫婦の日」に実の子供が誕生。その日に合わせてか産まれた子は、国の世継ぎとなる男子。父エッジは親馬鹿パワーを強め、クオレと息子を『てやんでい、ちくしょう、可愛いなあ~リディアもエブラ-ナの民も、みんな俺の宝物だぜ!』と、人目を気にせずニヤニヤのデレデレ。息子の名前は、「エドワード・ジェラルダインJr.」父と同じ名前なので「エディ」と呼んでいる。

エッジは姉となった弟の世話を焼く、小さなお母さん・クオレに、『クオレさぁーお前は大人になったら間違いなく、リディアに似た美人さんになるぜ。あのバロンの王妃様や、ダムシアンの王妃様にアーシュラに、レオノーラにルカにイザヨイに、可愛い顔して実はナイスな体のお姉さんだったポロムよりもな。いいか、絶対エブラ-ナより遠い所に嫁に行くな。それよりも俺が相手の男を徹底的に監視、観察、尋問、決闘、ひっぱ叩くか…』と話し。娘から『お父さんはいつも何言ってるの?』と渋い顔で言われた。

母譲りの碧の瞳を持つ息子には、『こいつは将来、俺に似たいい男になるぜ!バロンの国王とアイツを凌駕するほどにな』と話しては、妻から『それ言うの何回めよ?そうなんだ、ふぁ~あぁ眠い眠い...』赤ちゃんの育児で寝不足もあり、疲れきった顔であしらわれる。『おいリディアちゃん、何でだよ~!』

『若様、お館様、親馬鹿100%ですね!ハハハハ!』その度に城の者に笑われ、面白くなく膨れっ面をした、39歳・親馬鹿の王様エッジなのであった。

ある日の夜。1日の王の執務を終え、大好きな家族の居る自室に戻ったエッジ。
妻リディアはクオレとエディに子守唄を歌っていた。それを見てエッジは目を細めベットの中の
子供達に話しかける。『おーいクオレ、エディ、起きてないか?それとも寝たのか?』

リディアは小さな声でエッジに言う『しーっ。大きな声出さないで、よく寝てるのに起きるでしょ』
『悪いな、そう睨むなよ』『静かにしてね』子供達は寝静まり、今は起きているのは大人だけ。

エッジはリディアの肩を労わる様に、優しくマッサージしながら今日の出来事を話す。
『今日来たアイツの顔見たか?可笑しかったなぁーアイツがねぇ~ぷぷっ。アハハハハハ~!』
『ふふっ。カインってばエッジの言った事に顔赤くしてたよ』『そうだった笑えるぜぇ。ハハハハハハ~!!』『あのカインがね~』揃って思い出し、目から涙が出るほど笑い。

今日来た客人は、二人がよく知る新婚夫婦のバロンの聖竜騎士カインと、その妻でミシディア出身の白魔導士ポロム。なんでも休暇を取りミシディアに行った帰り道の中、エッジの言う「お節介夫婦」ことバロン国王夫妻のセシルとローザから、リディアとクオレに渡す様にと頼まれ物をお願いされ。また、王子エディの顔を見にエブラ-ナに寄ったのだと言う。

クオレはポロムとは仲良しで、久しぶりに会うと大喜び。クオレは『ワーイ!ポロムだ~』と抱きつき、しばらく話していると…それを見て嫉妬した妻に近付くのは動物でも子供でも、自分の竜でも容赦しないカインから、『クオレ、ポロムにいつまでくっついている?』とドス声で言われた。 

ところがクオレは気にせず、大人げないカインに『ポロムは皆のポロムなの!ひとりじめするなんて、カインはズルい』と言い返す。『は?何だと…』唖然として口を開けたカイン。その場は『おおっークオレ言うなあ!アハハハッ』とカインに全く遠慮する事なく、大笑いした忍びの国王夫妻とポロムであった。

『エディを見る?こっちだよ』クオレがポロムを赤ん坊のいるベビーベットまで連れて行き、夫妻とカインで話をする。正確には夫妻がカインに、ポロムとはどうだ?と質問攻め。カインたじたじ。

『セシルとローザから、リディアは赤ん坊の世話で大変だと聞いた。悪いからここに長居はせん』

結婚しても変わらないカインの仏頂面に、リディアは相変わらずねえと思ったが、エッジはニヤニヤして言う。『おいおい!何をおっしゃいますか、リディアとクオレがポロムに会えて喜んでるんだ。ゆっくりしていけよ!もう素直じゃないな~実はお前も見たかったくせに!俺の自慢の男前の息子を!どうだ?』

『カイン、エッジが超のつく親馬鹿でゴメンね。』リディアが呆れて言うも、エッジ全く気にせず。
『おい。そのニヤついた顔を近付けるな!』カインがエッジに手でシッシッ、あっちいけと振り払う。

自称/恋の伝道師・愛を囁く恋愛マスターことエッジと、昔からポロムをバロン国王夫妻同様、妹の様に可愛がっているリディア。カインの恋を助ける組織の一員として加わり、色々とお節介に協力した。

エッジはドヤ顔をして忍び足でカインに近付き、リディアからの「止めなさいよ」と訴える視線を無視。そして、何事かと後ずさりするカインの耳元へゆっくり小声で囁く。
(フフフ…バーカイン、ポロムとラブラブで何よりだな~感謝しろよーこの俺のお・か・げ!だぞ)

『はぁ?おい貴様...今、なんて言った?感謝しろ?おかげだと...?』眉間に深く縦じわを作り、ザワザワザワザワ…ゴゴゴゴゴゴゴ…と、何処ぞの月の民の様な威圧感を出したカインは、相手を鋭く睨むもエッジは全く動ずる事は無し。忍者は目の前の腕組をして立つ竜騎士に話す。

『カインちゃんさぁ、お前んとこは子供いつだ?家の可愛いいクオレとエディを見て、うらやましいんだろ?どうだ!』するとカインは威圧感が無くなり、エッジに『うるさい、黙れ!余計なお世話だ、この馬鹿忍者!』と怒る。いつもの醜い争い…じゃれあいが始まったとリディアは深く溜め息をつく。

『あれま、カインちゃんのお顔が真っ赤だぜ~お前さんの歳を考えたらさ、子供は早い方が良いんじゃないの?』エッジは楽しそうにニヤニヤしながら、赤い顔の実年齢より若々しい男を見る。

『...それはまあ欲しいが、その…その…運に任せる…』『おいおい、運に任せるって呑気に言うな!!ポロムは子供好きだから大丈夫だ』恥ずかしくなり口ごもるカインを見て、忍者は笑いジワを作りニヤニヤ。40近くになっても悪戯な夫に、『エッジ、いい加減に止めなさい』怒りのオーラを出す妻だった。

『カインさん見て下さい、エディが私を見て笑ってくれました!とっても可愛いいですよ!』
ポロムが笑顔を見せながら3人の方を振り返る。忍者の王と竜騎士のやり取りは聞こえなかった様だ。
『さすが我が息子!こいつよりも女心をわかってるな』『エディは愛想がいいからねー』両親の褒めっぷりとは反対に、『俺は赤ん坊よりも女心がわからないだと...』ガックリ項垂れるカイン。

『お母さん、セシルおじばとローザ様からエディの服と、私も可愛い服と髪飾りをもらったよ~見て見て』クオレが言った「おじば」の意味とは==おじさん+おばさんの事。クオレはセシルをそう呼び、ローザには「様」と付けて呼んでいる。リディアは娘とポロムの方に行き、そこに残ったは王と竜騎士のみ。女性達はキャピキャピやかましく話をし、男達の目には赤ん坊を抱くポロムと、それを見て笑顔の母娘が写る。穏やかな優しい表情で妻を見つめる竜騎士に、目を細めて家族を見つめる忍びの王。

(あっ!そうだ。あれあれ)ふとエッジが何かを思い出し、懐から何かを取り出す。
『これやる。昔から伝わる願い事が叶うという、有難いエブラーナのお守りだ』懐紙に包まれた中には色鮮やかな赤と緑、金銀の糸で織られた細かい模様入りの小袋。逃げる相手に強引に渡す。

『へへっ遠慮するな、いいから持って行け。満願成就、健闘を祈る!それとこれも…』今度エッジは、机の引き出しから何かを取り出し、小袋を見つめるカインに渡す。桜柄の包装紙に包まれた四角い箱だ。

『バロンに行ったら渡そうと思って、これ用意したけどよーちょうどいるから、ほいプレゼント!』
カインはエッジからのめったにない贈り物に、これは危険と頭の中で警報を鳴らす。

『ほう、お前が俺に贈り物とは珍しい。中身はなんだ?もしかして何か企んでいるのか…?』カインは睨むも、エッジは両の目尻に深い笑いジワを作りニヤニヤ。意味ありげにこう言った『へへっ、中は開けてからの~お・た・の・し・み。1人でも楽しいけどよ、ポロムと仲良く2人で楽しめるぜーウシシシシ』

(楽しめるって?もしかして…この中には、パロムがレオノーラから取り上げられたという、噂のエッ※な本じゃないだろな?そういう話の好きなエッジの事だから、そっち系の何かが入っていrz…、そうかもしれない!きっとそうだ。これは決して開けてはならない禁断の箱だ...ポロムには見せたくない!)

箱の中が気になるカインは動揺して、心臓の鼓動は早く落ち着いて冷静に考える事が出来ない。
『これは受け取れん。返す』箱を返すとエッジニヤニヤ。『俺とリディアで選んだんだ、受け取れって!』カインは再び箱を渡される。(お前達は何を望んでいる...)とそこには絶望の竜騎士がいた。



―とだったな。そうだったね、あの後ポロムが呼んでも返事しないって怒ってたよ。やれやれだー 

エッジからのマッサージで、凝り固まった痛みが和らいだリディア。育児で寝不足と溜まる疲れ、体のどこかが痛くても風邪気味でも、寝込んでいられないと我慢してしまう。自分に育てられるか急に不安になり泣いたりイライラしたりする。そんな自分を心配して『辛い時は遠慮なく言ってくれ、リディアはひとりじゃないぞ、俺たちがいる』『私もお母さんのお手伝いするよ!』そう言ってくれたエッジとクオレ。

夫と娘の言葉が何よりも嬉かった、エッジは『イクメンの俺にまかせてくれ!』大はりきり。

リディアは夫が『じい』と呼ぶ家老や忍びの四人衆、城の人達や旅の仲間達に幻獣界の育ての両親、たくさんの人達に支えられながら、毎日を慌ただしくも明るく楽しく過ごしている。


紅白の梅が咲いたとはいえ、まだエブラ-ナの夜は冷える。暖かい部屋に甘酸っぱい蜜柑と熱いほうじ茶で、夫婦のくつろぎタイム中。一緒に二人で話していると楽しくて、時間の過ぎるのも忘れさせる。

『カイン今頃はポロムと仲直りしてるかな?思ったんだけど、あのふたりってポロムがカインの手綱をしっかりと握っているよね。そしてカインはポロムに頭が上がらないと』『おっ、だろう?俺もそう思う』

そうリディアが言うと、エッジは自分も同じ意見だと頷く。『同じ事を言ってたのは、お節介夫婦に…』
エッジとリディアは誰々が話していたか思い出していくと、セオドアとツキノワと人形カルコ&ブリーナ以外、なんと旅の仲間ほとんどだった!!『あははは!みんなも同じ意見なのね』『へへへ、だな~』

この小さな宝物、子供達2人が大人になり誰かと出会って恋をして、結婚して温かな家庭を作るのかな?

帰ってきたら灯りがついていて、誰かが出迎えてくれるって、そりゃ嬉しいぜ!嫌な事なんか忘れて疲れが吹っ飛ぶぜ!!  暗い中で一人ぼっちよりも、誰かと一緒だと楽しいし幸せね!

出会ってからエッジはリディアを一途に思い、リディアはエッジを自分の愛する大切な人だと受け入れ。
夫婦となり家族ができ父となり母となり、人生の同志となり一緒なら乗り越えられる。
エッジ、ありがとう……これからもよろしくね。 へへ、こちらこそ。見捨てないでくれよう~

楽しそうな話声が2つ響く深夜の国王一家の部屋。二人の話はしばらく続きそうだ。
この話は...愛する妻と子供達が大好きな忍者の王と、夫と子供達が大好きな妃の話だ。
今夜も夜空には三日月と、無数の輝ける星が広がり優しい光を照らしている。

この世界で生きとし生きる者の、これからの希望と未来。ささやかな幸せを願うように。


そうそう。カインがエッジから渡された、開けてはならぬ禁断の箱の中は何かというと…

カインは機嫌を損ねた妻と仲直り。帰宅後、テーブルにミシディアとエブラ-ナの土産を並べていた。

例の箱を見られない内に隠そうと、ゆっくり妻から離れ見つからずに屋根裏に行こうとするが...
『ふふふ、どうしましたか?』妻に後ろから声を掛けられ振り返れば笑顔の、疲れて帰宅すれば癒されるポロムが、今は見れば恐ろしい恐ろしいわで青ざめる。(ひいいいいいー!)

ポロムは夫が持っていた物。桜柄の綺麗な包装紙に包まれた箱を見つけ、慌てて隠そうとするカインに笑顔のまま詰め寄る。『おい、なんだ…』『ふふふ。カインさん、隠してる物は何ですか?』

(ううっ、見つかってしまった...笑顔で俺を見るな)『これは国家機密の重要な箱なのだ...』
この場はそう言ってやり過ごそうと思ったカインだが、ポロムは首を傾げて見ていた。
『重要な箱?』『ああ、そうだ。俺だけが開けていい箱だから、だからポロムは見るな!触るな!開けるなああああぁぁぁー!』普段は見ない夫の慌てる姿に、ポロムはどうしたかと眉を潜める。

(えっ?この綺麗な紙の箱が国家機密なの?これは何か隠してそうで、あやしい…ここはエッジさんとリディアさんから教わった「ゆうわく」っていう術を掛けるしかないようね!)

ポロムの「ゆうわく」は、くの一イザヨイの使う「ゆうわく」とは別。対カイン用のカインにしか通用しない効果の「ゆうわく」なのだ。セシルとローザから伝わる、カインに困った時の対策法もある。

『あの…カインさん。私、どうしても中身が見たいから開けてください。お願いします!だめですか?』
甘い口調で言い、顎下の高さで両手を重ね、間近にあるカインの顔を上目使いで見つめるポロム。

(ううっ…そんな顔されたら断れないだろう…しかし、これは危険大の箱なのだ。でも頼まれると…)
『ああ、開けていい…って待て待て!!』愛する女性の頼みは、幼馴染みの国王夫妻同様に断れない。

『ふふふ。ではカインさんの許可が出たので開けまーす、それ!』ポロムがカインから箱を取り、手早く包装紙を剥がし蓋を上げると、その中には…なんだろう?

(もう、これで終わりだあああー!!カインさん嫌い!ミシディアに帰りますと言われる...)

妻の固まった顔を見られず、自分の顔を両手で覆ったカイン。だが…聞こえたのは妻の明るい喜びの声。
何だ?と恐る恐る妻を見ると、笑顔のポロムが箱から色々取り出している。

『わあー嬉しい!これ将棋セットですよ、エブラーナのゲームで世界中で流行ってるんです。』
『そうか、そうかハハハ…』『一緒にお菓子とお茶も入ってますよ、どら焼きと大福ですって。美味しそうー』『そうか、そうだったか、ハハハハハハ…』『さっそく将棋やりましょうよ!楽しみ!』
(ううっ…俺の考えていた事は、予想した事は何だったのだああーーー!!)妻からの話に茫然とする夫。

『そうか、それは良かったな...ハハハ』それしか言えないカインは、乾いた笑い声で引きつった顔をしながら、エッジとリディアからの贈り物に喜ぶ妻に両手を引っ張られ、ソファーに座り将棋を始める。

そしてポロムが勝ち続けて連勝、カインは負けっぱなしの結果に終わった。

箱の中身は何か?と、エブラ-ナからバロンの自邸まで、あれこれ想像を膨らませて考えていたカイン。
それはきっとウッフン、アッハン、いやんばかん…ゴホ、ゴホゴホン、ゲフゲフン!

カイン『違う!そんな事は無い...あわ、あわ、あわ、あわわわわわwWW~』

とにもかくにも皆仲良しこよし。お話これで、おしまい~♪チャンチャン♪♪ 



trkeko at 18:00|PermalinkComments(0)